江戸東京ぶらり旅

ニコライ聖堂＜神田＞

　イスラエルのエルサレム，ここには聖墳墓教会があります。ユダヤ教徒であったイエスがゲッセマネの園で捕らえられ，民衆がピラトに死刑を迫ったため，磔にされた「ゴルゴダの丘」，その上に建てられた教会として知られています。イエス・キリスト（イイスス・ハリストス）の墓もここにあります。だからここはキリスト教発祥の地になりますね。

　　　　

　ローマ人はユピテルや街の守護神など，もともと多くの神を信じていましたが，４世紀にはキリスト教がコンスタンチヌス大帝によりローマの国教と定められ，世界に広がりました。ところが１０５４年，ローマを中心にした西方教会とコンスタンチノープル（現在のイスタンブール）を中心とした東方教会に分かれました。「東西両教会の分裂」ですね。ローマ法王はなんとか西方教会を配下に置こうと統一を試みましたが，うまくいかなかったようですね。

　前者は「カトリック」として西ヨーロッパで発展，後に「プロテスタント」などが生まれ別の勢力がとして発展しました。一方，後者は「正教会（Orthodox Church）」として東ヨーロッパで発展，われこそは正当のキリスト教ですぞというわけです。「ギリシャ正教会」とはギリシャの国教であるばかりでなく，東方正教会の一般呼称でもあり，１２使徒がギリシャ語で伝道したキリスト教，ギリシャ語文化圏の教会という意味も持っています。ロシア正教会，日本正教会，アメリカ正教会，ブルガリア正教会，セルビア正教会などと国の名が付けられる場合は，それぞれの国の言語を使って，それぞれの国単位で独立して活動していますが，でも，同じ教義を守っていて，だからどれもギリシャ正教会に属します。






　日本に正教を伝えたのは１８６１年，函館のロシア領事館付司祭として来日した聖ニコライ。日本最初の正教の信徒は坂本龍馬の義弟，パウエル沢辺琢磨さん。その後，彼は東京で伝道に力を注ぎます。日本における正教会の中心である御茶ノ水の東京復活大聖堂（ニコライ堂：写真上），，函館ハリストス正教会など各地の聖堂はロシア・ビザンチン様式と呼ばれ，文化財の指定を受けています。聖堂内を飾る「イコン(Icon)」（写真下），天国と地上を結ぶ天国の窓。なお，「イイスス・ハリストス」とは「イエス・キリスト」のギリシャ語・スラブ語（古ロシア語）の発音。

　カトリックではペテロの伝道を重視し，総本山はバチカンですが，正教会には総本山はありません。正教会では１２人の使徒はすべて平等であると考えるからです。そのかわり，正教会を管轄するために総主教区があります。これはイスタンブール，アレキサンドリア，アンティオキア，エルサレムの４つ。