父のいたところ
5年前、父は86歳で亡くなった。父は、稲作農業を営んでいたが、機械が大好きだった。昭和42年ぐらいに田植え機械の開発に携わっていた。早くから自動車を運転していた。 父のプレゼントで覚えているものは3つある。1つめは小学3年のときに「地球のひみつ」という理科の本だった。暗記するほど読んで、お気に入りだった。おかげで、理科が好きになった。 昭和46年ごろから減反政策が始まった。家族を養うために父は自動車学校に勤めだした。大学生になり、バイクに乗るようになった。父からプレゼントされたのは、バイクと整備工具一式だった。 大学4年の夏休みに、大型自動車の免許をとった。教官は父だった。納屋をみると父の機械を修理する姿を思い出す。