銀行マンの営業活動と株価銀行マンの営業活動と株価 かつて日本経済の血液(お金)を流す心臓とも言える役割を担ってきた銀行。今その銀行はコレステロールを取り過ぎ(バブル)たせいで、毛細血管が詰まり、血液が滞留し、自らの命が危うくなっています。きっと死を宣告される銀行もあるでしょうし、なんとか回復して再生する銀行もあるでしょう。 仕事柄銀行の営業マンと接する機会が多いのですが、彼等と会っていてある法則に気がつきました。彼等の営業活動と日本の株価との間に、ある法則が成り立っていたのです。私は、その法則の妥当性を証明することは出来ませんが、彼等の営業活動に妥当性が無いことを証明することが出来ます。 そう私が気付いた法則とは、営業マンが投資信託を勧めてきたら、株価が下がるという法則です。これはすなわち営業マンの予測とは正反対に世の中は動くということです。ちなみに為替予測でもあてはまりました。 よりにもよって、それが良く当たるのです。しかも株価変動のターニングポイントをピッタリ当ててくれるのです。 最近の楽しみは、銀行マンが来たときに株価と為替の予測を聞くことになってしまいました。僕が株価や為替の話を持ち出すと、得意げな顔で、色々な難しい経済用語を使って、懇切丁寧に日本経済・株価・為替動向について講義をしてくれます。しかもその営業マンは、自分で投資信託を買っていて、何十万の損失を出しているにもかかわらずです。ほんと笑えますよね。 では何故彼等はそのような行動をしたのでしょうか?どのような動機でそうしたのでしょうか?僕なりの解釈をしてみたいと思います。 マクロ的解釈 持ち合い株を放出するにおいて、買手(投資信託又は個人投資家)が必要であった。 銀行は、時価会計を目の前にし、不良債権化した持ち合い株を手放したくて手放したくて仕方が無かったのです。しかし大量の持ち合い株を市場に放出することは株価を下げることになります。株価が下がると、ますます不良債権が増えることになります。その打開策として銀行は、自ら株価を下げるようなことをしながら、一方では人々に投資信託を買わせ株価を維持する必要があったのです。もちろん投資信託が上がろうが下がろうが手数料も稼ぐことが出来ます。結果としては、外人投資家が日本市場から去っていき、株価維持の目論見は、儚くも散ってしまいました。 これって酷くないですか。まるで死の商人です。人々には、あの敵(株価の下落)はけしからん、懲らしめなければと言い、軍備を増強(公的資金援助・手数料売上増)して儲けて、一方では裏からその敵に武器を売り(持ち合い株の放出)儲けて、戦争(倒産)を長引かせる。そうです銀行は死の商人に成り下がってしまったのです。 ミクロ的解釈 銀行営業マンは自らの保身と出世のために頑張った。 当然銀行も営利企業です。利益を出さなければなりません。そこには公的機関としての気概なんてこれっぽっちもありません。その営業マンたちは、日本経済を良くしよう、経済(血)の流れをスムーズにしよう、必要なところに資金を投入し経済を発展させようなどとは考えたことも無いでしょう。その営業マンも入行当初はそのような気持ちを持ってたのかもしれませんが・・・。経済が良くなろうが悪くなろうが、ある企業が発展しようが潰れようが、営業マンは、自分が働く銀行があるかぎり、そこでの出世が第一目標です。なにせ都銀ともなると入行するのは大変だったのでしょうからプライドがあります。その為なら、悪いこととは知りながらも(否本当に良いことと思ってるかもしれません)銀行の為に一生懸命働くのは当然のことでしょう。銀行が自ら預かっている預金を、株式市場に流れるように願っていることを理解した聡明な営業マンは、必死になってその価値が下がるのが分かっていたにもかかわらず、他人には勧めたのでした。 いずれにしろ、最近メッキリ投資信託の営業が無くなりました、為替オプション付定期の営業もなくなりました。販売する役目を終えたということでしょうか。以前株価が上がっていた時にそうだったように、たぶんこれから株価が上がってくると投資信託を勧めることは無くなるのでしょうね。それと共に笑いを提供してくれる楽しみが減るのでしょう。寂しい限りです。 さてこの法則がわかったところで、私達が何か得をすることがあるのでしょうか?笑いだけですか?得にならなきゃここにわざわざ書く努力も報われませんね。そこでこの法則を使って利益を上げる手段をお教えしましょう。今度営業マンが株価が上がるから投資信託を買いましょうと勧めてきたら、内緒で貴方だけにお教えしますので、その時の為に勉強してください。 だけど法則通り株価が下がったら、僕達には良いことが無いんじゃないかと言われるかもしれませんが、最近の金融商品は凄いですよ。参考までに、例えば泣く子も黙るゴールドマンサックス証券が出している商品(オプション取引)にEワラントというものがあります。この商品なら小額投資で、しかも株価が下がるとその価値が上がるというものもありますよ。けどこれから株価は上がっていくかもしれませんね。だって最近銀行マンさんは投資信託を勧めなくなりましたもの!その時は反対の商品もあるので使ってください。 銀行大好き551さんに捧げます。 2001年11月08日 |