小さい花のミクロの世界へ

2010/06/14(月)11:04

奇跡の帰還

 日本の小惑星探査機『はやぶさ』が、 60億キロという長距離飛行を終えて、 7年ぶりに、地球に帰還した。 http://www.yomiuri.co.jp/space/news2/20100613-OYT1T00818.htm http://sankei.jp.msn.com/science/science/100612/scn1006122244000-n1.htm  この60億キロという距離は、 地球と太陽の距離の、約40倍というから、 片道の20倍にしても、とてつもない距離ではある。  しかも、すぐ近くに見えている月に行ってくるのとは、 わけが違う。 小惑星の『イトカワ』と言われても、 それがどこにあるのか、望遠鏡を使っても、わかりはしない。  その小さな星くずを目指して、数年をかけて到着して、 その星に着陸(再着陸を行ったので、2回)をして、 なにやら試料を採取して、hたたびこきょうの地球を目指して、 飛び立ったのである。  この一連の工程の中に、幾多の困難が連続している。 その多くの困難を、『はやぶさ』はいずれも奇跡的に切り抜けて、 地球への帰還を果たした。  これが、有人探査機なら、その困難を乗り切る過程で、 人間的なドラマが待っているのだろうが、 『はやぶさ』は無人探査機なのである。 その無人探査機が、まるで『有人』であるかのように、 困難に立ち向かいながら、力を振り絞って、 故郷(地球)に帰ろうと頑張ってくれた。  これは、アフリカのサッカーのイベントを凌ぐ、 感動のドラマになったことだろう。 『はやぶさ』は無人探査機ではあるが、 その多くの復活ドラマの陰には、 地球上で臨機応変にコントロールを試みた、 多くの技術者がいる。  その技術者の『心』が、『はやぶさ』にも心を持たせたのだろう。 それによって、無人のマシンが、 まるで『人格』を持った物体のように、 人々(日本国民)の感動を、呼んだのである。  最後の瞬間には、艱難辛苦を乗り越えて地球帰還を目前にした 『はやぶさ』の本体が、子供のようなカプセルを生かすために、 本体から射出して、自身は大気摩擦によって、 燃え尽きてしまった。  射出されたカプセルは、パラシュートに守られて、 産声(メッセージ信号)を発しながら、 地上に産み落とされた。  完結編まで含めて、これほど見事な『浪花節的なドラマ』が、 ほかにあるだろうか。 意図したわけでもないのに、見事な超大巨編ができあがったのである。  日本人には、これは素晴らしい感動物語になる。 カプセルに、母体の『はやぶさ』からのメッセージが残されていれば、 さらに、感動は深まることだろう。 メッセージ(採取試料)が、カプセルに飲み込まれていることに、 期待を寄せたい。 『はやぶさ』のカプセルは、オーストラリアの砂漠に 着地したとのことだが、砂漠で良かった。  さすがに『砂漠』なら、 日本を標的にする『シーシェパード』の守備範囲外だから、 カプセルを破壊される怖れが、なかったのだろう。  彼らには、『感動物語』など、通用しない。 つくづく、彼らに見つからずに良かった。 オーストラリアの牧場にでも着地していたら、 オージービーフたちに、踏みつぶされていたかも知れない。  本当に、運のいい探査機だ。

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