笑顔の認知症

2007/08/25(土)08:07

母の欲しいもの

母の性格は、とにかく真面目でコツコツと。そして我慢強い。 我が家は母と弟と私の3人家族だった。 女手一つで2人の子供を育ててきたから、それこそ、自分の物は何も買わずに生きてきたと 言っても過言ではない。時計一つ買わなかった母だった。 我が家はとっても貧乏でした。私が子供の頃は生活保護を受けていたし、 冷蔵庫の中に「カルピス」があった日には、ビックリして大切に大切に飲んだものだ。 そんな生活の中でも母は、コツコツとお金をためていた。 今、母の口座には、沢山は無いけど、「頑張った証」が残っている。 貯金関係は私が管理しているので、時々母に安心してもらうために、通帳を見せてる。 「これだけあるから、大丈夫だよ。」って。。。。 でも、母は10万円以上はよくわからないらしい。 母「こんなに有るなら、靴下が買えるね。」 なんて、本気でニコニコしていっている。 そんな母が今一番欲しいものは・・・「踏み台」だ。3段ぐらいあるやつ。 私「なんで、踏み台が欲しいの?」 母「だって、押入れの上のほう(天袋)に大切なものをお前達にしまわれて、見ることができないんだもん。ちゃんと、調べなきゃ。だから、踏み台が欲しいの。」 母が認知症になって、私が中心になって、色んなものを捨てた。 とにかく色んなものを溜め込んでいたので、整理をしたのだ。 それが、すごく心に残っているのだろう。「捨てられた」という気持ちが強く残っている。 天袋には、当分使わないもの(お返しにもらったシーツとか、タオル等)ばかり。 いくら説明しても、母の心は天袋に引き寄せられてる。 でも、食卓のテーブルの椅子や机の椅子等、5脚はあるんだけど、 椅子を使う事は頭にはないようで・・・・ 「高い所の物を取るのは、踏み台で・・・」と母の脳にはインプットされてるらしい。 今まで踏み台なんか我が家には無かったのに・・・不思議だ。 母には生活費として(主に食費)6万円、弟が渡している。 1日2千円で生活すればいいのよ。と、母は言っている。 母「1日2千円の中から、少しずつお金をためなきゃ。そうすれば、踏み台買えるよね。」 私「そうだね。」 母「頑張ってお金貯めて踏み台買おう~。だって、私お金無いんだもん。」 私「そうだね。」 母「1日2千円でやってくの大変なのよ。だから、踏み台が買えないの。   でも、頑張ってお金貯めて、踏み台買いたいの。」 私「そうだね~」 私がいない時に、怪我されるのも心配だし、なんか母の目標になっているので、 いつも行くスーパーで踏み台が3980円で売っていたことも、 椅子で代用できる事もあえて言わないでいる私です。 きっと今の母には踏み台が、私が子供の頃に欲しがっていた、「リカちゃんハウス」のように キラキラ光って見えるのかもしれない・・・・ 真面目な弟にこの話をしたら、 きっと本気で「かあちゃん!そんなの買っちゃだめだ!」と怒りそうだ。。。。 最後までよんでくれて有難うございます。 もし良かったら、これを→ポチッと押してくれると励みになります。 有難うございます。

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