「パワー深呼吸」の健康効果

■健康ブームでよく取り上げられるのがヨガや気功、太極拳などの武道。最近ではボクシング、座禅なども脚光を浴びているようだ。どれも、最初に教わる基本動作はまず呼吸法から。

▲深呼吸法（腹式深呼吸）では、極めてゆっくり静かに呼吸することが特徴です。ゆっくり呼吸することは、酸素を必要以上に取り入れないためです。呼吸法のなかで歴史の古い気功は、自律神経機能や情緒の安定に良い、ということが経験的に知られているます。

▲深呼吸をすると、脳波はα波の周期数が減り、振れ幅は大きくなり感情が抑えられ、落ち着いた精神状態になります。副交感神経が緊張して、交感神経の緊張が押さえられ、血圧が低くなり、皮膚の小さな血管が拡がって皮膚温度が上昇します。また、胃腸の運動が活発になり、唾液や胃液、インスリンの分泌が盛んになり、血糖値の低下も確認されています。

▲深呼吸法によって、腹筋や横隔膜の収縮運動により内臓へのマッサージ効果、また内蔵の血液循環も良くなります。深呼吸によって内臓への腹圧がかかり、腹部大動脈が圧迫されます。心臓への血液の戻りが良くなり、心臓循環器系が活性化されるため、足のむくむ人などにもお勧めです。

▲ただし、あまりに過激に深呼吸法を行うことは避けてください。過換気症候群といって、手足がしびれたり、失心したりする場合があるので、ゆっくりとリズムにのった方法で行うようにしましょう。

▲『パワー深呼吸』とは。（「パワー深呼吸」の名称は私（富田）の造語です）
パワー深呼吸といっても、息んだり力を入れることではありませんので、誤解のないようにお願いします。パワー深呼吸の”パワー”とは深呼吸することによって得られる活力、生命力のことをパワーと称しています。

▲パワー深呼吸のやり方。
平らなところに寝ます。うつ伏せでも横向きでも、あお向けでも構いません。要するに、頭、心臓、足の先が水平になるようにします。自分のいちばんリラックスできるポーズでもかまいません。
　お薦めは、大の字に寝て、片足を反対側へ交差させ、腰をねじった状態にします。両手はバンザイをして、両手の指を頭の上で組み万歳をします。このポーズは深呼吸とともに、ストレッチ効果も加わり、そのままでもかなり気持ちのよいものです。
　できれば足枕を入れて足を少し高くした方が足の鬱血（むくみ）解消と、全身の疲労回復を早くとる効果があります。ねじりポーズは左右やります。

上記のポーズで軽い深呼吸を２、３回ゆっくり繰り返し息を整えます。基本は鼻から吸って口から吐きます。

▲息を整えたらパワー深呼吸の始まりです。鼻から普通の早さで腹一杯（腹式深呼吸）吸い込みます。
吸い込む目安は、総肺活量の５０～７０パーセント程度、限度ギリギリまで吸い込まない事。深呼吸もやりすぎると過換気症候群になり目まいを起こしたり、気持ち悪くなったりするので注意が必要です。

▲吸い込んだら、鼻の奥の弁を閉じる感じで息を止めます。このとき肩に力が入りやすいので、力を抜いてリラックスします。
　絶対に体に力を入れたり息んだりしないで下さい。息を止めてしばらく（３～４秒）すると顔や頭、手足のほうへ血液が脈を打って流れていく感じが分かるでしょう。５、６秒したら口から息を吐きだします。吐くときはお腹がぺしゃんこに凹むまで最後の一息まで吐き切ります。

▲連続でやらず、２～３回やったら一休みしましょう。しばらく普通呼吸で息が整うのを待ちます。

▲再び深呼吸。　→息を吸い込む　→止める　→苦しくなる手前で吐き出す。
　…これを５，６回くり返します。　…体の力が抜けてゆったり状態になっているはずです。しばらくそのまま余韻を味わいましょう。

▲脳への血流がよくなるため、ウトウト眠気を催してくる人もいるでしょう。眠くなったらそのまましばらく昼寝(仮眠)をすると、気分がすっきり疲れもとれます。

▲要領さえつかめば、１０～２０分ほどで終わります。スッキリ疲れはとれるはずです。

不眠症で寝つけない人は、布団に入ったままでパワー深呼吸をしてみて下さい。３０分もしないうちに眠りに落ちていくでしょう。これは、脳細胞への血流が良くなり、副交感神経のリラクゼーション効果が働くためです。

▲「パワー深呼吸」の原理は、深呼吸で肺を大きく膨らませ、数秒間息を止める。体内圧を高めることで体内の圧力を上げ、全身の血液の循環を短時間で活発化するというものです。特に鬱血しやすい末梢血管や体表面への血流を速効で促進させる効果があります。

▲「パワー深呼吸」には、さまざまな健康効果が考えられますが、応用編として”禁煙”に挑戦してもらった結果、知人や患者さんの中でも、かなりの人が禁煙に成功しています。タバコを止められない諸兄、是非お試し下さい。無料ですから何回でも挑戦して下さい。

▲深呼吸は、邪気を吐き切ることが重要なポイントになります。肺の中の汚れをしっかり吐きだすイメージをして下さい。漢方療法でも邪気といって、体の中の汚れを吐きだすという考え方を重要視しています。