tomo_hの映画ログ

2014/10/30(木)20:54

少女は自転車に乗って(サウジアラビア、ドイツ映画)

映画ログ(2916)

サウジの首都リヤドに住むワジダという10歳の少女が主人公だ。サウジアラビアの映画というのは確か初めてのはずだ。女性監督ハイファ・アル・マンスールがサウジの人なので、リヤドを舞台の映画が誕生した。もう見るもの何から何まで珍しいことだらけで、生活ぶりも家庭環境も社会のなりかたも、すべて我々の国と違っている。国の名前からして「サウド王族のアラビア」という意味らしいが、宗教は言うまでもなくイスラムだ。学校は男女別の学校、外へ出るときは女性は黒い布で頭と顔を覆っている。自動車は男しか乗れないので「運転手」というのが職業として存在し、各婦人たちは特約の運転手と契約している。そうでないと仕事にも買い物にも行けない。町の中では黒い長い服ですっぽり全身を隠した女性たちが2人連れ(滅多に一人はない)で歩いている。女性の遊び場などないだろうが、ブティックはあってワジダの母は派手なドレスを買った。もちろん家の中だけできているだけ外ではまっ黒だ。 お母さんは一軒の家にワジダと二人で暮らし時々お父さんがやってくる。「もう一週間も来ない」と言っていたから、夫婦と言っても不安定なものだ。第1夫人だが子供がワジダという女の子だけなので、お父さんはまもなく第2夫人をもらうつもりだ。男の子が欲しいのである。家には「樹の家系図」が貼ってあるが、枝に書かれた名前は男だけ、ワジダは載っていない。学校の先生は女ばかりだが、お転婆で言うことを聞かないワジダは校長先生にいつも睨まれている。 近所の仲良しの男の子が素敵な自転車を買ってもらったので、彼女も欲しくなった。値段は800レアル、調べてみると日本円で25000円くらいだから、ほぼ同じくらいの売値だ。どうしても800レアル欲しいので、コーラン暗唱大会に出て賞金1000レアル取ることを狙った。宗教がためのお堅い生活ぶりのようで、家にはプレステゲーム器があってワジダとお父さんがやっていたり、「コーラン暗唱と質疑応答のソフト」のセットもあって、コーランのにわか勉強も家で簡単にできるところが面白い。 とにかくイスラム圏の女性の暮らしが驚きの連続で映画の価値のほとんどを占めている。ワジダを演じるワード・ムハンマドという子がきれいで賢そうなので好感がどんどん高まる映画だ。お母さんはふくよかで美しい人だ。アラビアでは太っている方が美人とみられるらしい。どんな環境でも子供は順応して精いっぱい生きるものだと元気な彼女に感心した。 (おまけ)家にお客さんが来てご馳走を出す場合、お母さんは客の前に出ない。料理の皿をドアの前に置いてコンコンとノックする、お父さんが出てきて廊下の床にある皿を取る。それが当たり前らしい。

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