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カテゴリ:本とマンガと映像と♪
アンバランスな危うさにドキドキしました。 夏の日差しの中の少女達が、一枚の美しい絵のように鮮やかに描き出されています。 それでいて本から受ける印象は、あくまでもクールで薄暗いんだもん。 あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。それは、楽しく充実した高校生活の最高の思い出になるはずだった。ひとりの美しい少年の言葉が、この世界のすべてを灰色に変えるまでは…。そして、運命の歯車は回り始めた。あの遠い夏の日と同じように―。運命の岸辺に佇む少女たちの物語。 設定は、作者が狙うところの70年代少女マンガ。 影響を受けた、内田善美さん・清原なつのさん・萩尾望都さんを意識してるらしいです。 少女達の持つ硬質なムードは、確かにどこかノスタルジーを感じさせます。 下級生に憧れの目で見つめられる、2人組の正統派「お姉さま」な上級生とかって 個人的にツボな設定だったりw わりと薄い本なので、それこそ漫画を読むようにサクサク読めました。 本は1巻ごとに語り手の少女が変わり、その都度話が大きく展開していきます。 それぞれに衝撃のラストがきますので、3巻揃えてから読むのがおススメ。 でなきゃ、地獄の引きって状態になっちゃいます(笑) 10年前に起きた、ある事件が大きな意味を持っているのですが、 誰が何を知っていて、何を隠しているのか、あるいは忘れたままなのか 最後までわかりません。 ひとつの話をしよう ひとつの昔話をしよう ひとつの寓話を聞かせよう 今はもうない あの蛇行する川のほとりでの少女たちの日々 恩田陸さんの小説は、淡々と語られていても 何か魔が潜んでいるように感じられて、息をつめて読んでしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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