銀の裏地

2010/01/14(木)13:05

ベテルギウス 超新星爆発

天文(8)

 前々から言われていたことではあるが、明日起こってもおかしくないと言われれば、俄然気になるニュースである。  冬の夜空の大スターであるオリオン座の主星ベテルギウス、あれは太陽をのぞけば地球から見えるもっとも大きな恒星だ(見かけの話)。冬の大三角形の一角であり、他の何がわからなくても誰でも冬空に見つけだすことのできる華やかな星座の中でも特にわかりやすい二つの一等星のうちの赤いほう。以前からさそり座のαアンタレスと共に、そろそろ寿命が尽きてきたと言われてきた星だが、明日、それが起こるかもしれないとは。  しかも爆発したそれは、満月ほど明るくなって、ひと月近く輝き続けるというではないか。いや、時期は明日か数万年後か、くらいのズレがあり、明るさも満月から三日月までの幅があり、派手に光る時間もせいぜい十日ほどかもしれない。立てられている予測はそんなもの。天体の暦からすれば、それは皆、大した違いではないから。640光年先にあるベテルギウスの表面の様子、なんてものをようやく地球人は観測できるようになり、明日かもというところまで予想できるようになった。それでも、今観測しているのは640年前のあの星で、それから今日までの640年の内に、既にベテルギウスは爆発して消えてなくなっているのかもしれない。そして今すぐそれを確かめる術を持たないのだ、我々地球人は。  無責任に、それが起こるなら見てみたいと思ってしまう私の中の元天文部員。驕る平家は久しからず、と呟いてみたりして。青白いβ星リゲルが源氏星なら、赤いベテルギウスは平家星、日本ではそう呼ばれていたらしい。我が亡きあとに…ではなく、在るうちに、と。ガンマ線のこと、とか現実的な心配事だって無いではないが、平安時代にかに星雲の元になった超新星爆発の観察をしていた人たちのような体験をしてみたい、正直なところ。  リンクは最近の天文をめぐる話題をざっとおさらいしたい人向け。小学校高学年以上向けだけど、手抜きはない。著者である国立天文台の渡部潤一先生は、例の冥王星が惑星ではなくなった国際天文学連合決議の原案作成メンバーだそう。 天体観測・100年絵事典

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