ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん
隣県在住の三妹がブルーベリー摘みに行こうと誘ってきた。どこかと思えばわが市内である。自転車で20分。四姉妹両親うち揃い、またちょっとした一族集合である。うちの子はリン・ナン・ゼロが参加。 東京天文台にほど近い吉野農園。入り口で300円払ってあとは滞在中試食自由、つまり食べ放題。帰りがけに手に下げた籠に残った(笑)ブルーベリーを量り売りで買って帰るというシステム。2時間近くもいた。私は日常生活においてはすこぶる小心者で、こういうのはなんだか申し訳なさが先に立ち、30分も過ぎると居心地が悪くなってくる。それにいくらおいしくてもムシャムシャよりもとびきりのをぽっちりいただきたいんですもの。結局それ以降はゼロが枝からとって口に押し込んでくれるのだけ食べているような感じだった。小人さんはたいしたところには手が届かないのですっぱいものもまじっていたけれど、それでもかなりの確率で大きく甘くジューシーな実を食べられた。相当良い農園ではないの、ここは。品種も軽く10種類以上。ファミリーやママ友子連れグループが多かった。ブルーベリーは低木だから、子どもも自分で摘みやすい。すぐに籠が満杯になる。ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん価格:1,365円(税込) エルサ・ベスコフ 作絵 小野寺百合子 訳 福音館書店 世界傑作絵本シリーズ ブルーベリーといえば出てくるたぶん2冊目の本。↑これは90年代に復刊された版ですね。うちのは古いからぼろぼろ。背表紙がなくなりかけている。あ、小野寺さんはもうお亡くなりになっていたのか。ベスコフはあの頃まとめて復刊されたおかげでそこそこの図書館ならどこでも読める。代表作は『ペレのあたらしいふく』。 お母さんの誕生日祝いに森へブルーベリーとこけももを摘みにきたプッテは、ブルーベリーの王様の魔法で小人サイズに。自分の頭ほどのブルーベリーやこけももがたわわに実る魔法の森で、小人のこどもたちと楽しい午後を過ごす。幼稚園くらいまでの子どもたちは必ずといっていいほどこの絵本の魔法にかかる。しあわせな幼児期を閉じ込めたような本。 さて1冊目に挙げられる本といえばこちらだろう。サリーのこけももつみ価格:1,785円(税込) ロバート・マックロスキー 作絵 石井桃子 訳 岩波書店 「こけももつみ」というタイトルになっているが、実はこれ、読んだ人ならみな知っているようにブルーベリーである。70年代に邦訳が出た際、日本ではそもブルーベリーなんて言葉が一般的でなかったために、石井桃子があえて「こけもも」と訳したのだ。あの時点では英断だったと思う。丘へ母さんとブルーベリーを摘みに行ったサリーがブリキのバケツに実を入れる音「ポリン・ポロン・ポルン!」が印象的。同じとき熊の母子が丘の反対の斜面にやはりブルーベリー狩りに来ていて…。 タイトルより問題なのは、実は日本版の刷り色。原画展でこの作品を見た人は必ず息をのむ。というのも、日本版のほぼ黒に見える濃紺ではなく、原画は鮮やかなブルーベリー色で描かれているのだ。原画のそのおいしそうな色ときたら、野生の実の香りがただよってきそうなほどだ。同じく石井訳の『百まいのきもの』が『百まいのドレス』として再刊されたのだから、これも『ブルーベリーつみ』にして、そして何よりブルーベリー色で、刷り直してくれませんか岩波さん。 マックロスキーは『かもさんおとおり』の作者。ニューヨーカーらしい機知が前面に出た作品も愉快だが、自分の子どもたちを主人公にした絵本群の自然描写もすばらしい。この本のサリーは作者の長女。くまのコールテンくん価格:2,646円(税込) DVD 世界絵本箱 「くまのコールテンくん」 「サリーのこけももつみ」 「ロバのシルベスターとまほうのこいし」 声の出演:渕崎ゆり子/壌晴彦/キートン山田 世界絵本箱は戦後の代表的絵本をアニメ化したシリーズ。当ブログでも『かいじゅうたちがいるところ』等で触れている。 この巻の出演陣、今リンが「少女革命ウテナ」をレンタルして見ている最中なので、渕崎ゆり子(薔薇の花嫁アンシー)が気になる。このクレ順だとコールテンくんか。いつもは元気な男の子役だもんね。世界絵本箱シリーズはビデオがレンタル屋においてあった最初のほうだけコピって持っている。この巻は知らなかった。中学の図書室にこのシリーズがあるようなので、今度見てこよう。しかし豪華なラインナップだこと。名作揃い。 『サリーのこけももつみ』の見返しを見ると、ジャムをつくらねば!という気にどうしてもなる。農園で摘んできたブルーベリーを使って、リンがチーズケーキを作ってくれた。炊飯器を使った作品だが、お手軽の割にこれがおいしい。あ、ちゃんと裏ごしもしたんだから、お手軽なんかじゃないそうです。がんばったのね、ありがとう。↓よろしかったら押してください