埋めた
マリーさんはとてもきれいな顔をして死んでいた。いよいよ死んでしまうなと思った時、病院でもらっていたぶどう糖を一滴口に入れると大半はこぼれ落ちたものの、いくらかは飲み込んだらしく一時的に血糖値が上がって激しく暴れた。見ていられないので、もう延命はあきらめようと思いつつもそれでも何とかならないかと思って、抗がん抗炎症の飲み薬を口に入れようとしたら嫌がって手で押し戻してきた。そしてそのまま手の上にうずくまって死んでしまったので手の形が「いえ、もう結構です」という姿で固まってしまった。薬がこぼれたために、毛も濡れてところどころしわしわになっていた。見るたびに心が痛んだ。でも少し時間が経つと毛並みがつやつやとして顔の表情も穏やかになっていた。全体にふっくらして、まるでお人形のようだった。ただ、「もう結構です」という手の形だけは変わらなかったけど。プラスチックのケース越しに見ると、少しだけ幸せそうにも見える。間近で見ても、眠っているようで、今にも動き出しそうだった。あんまりかわいらしいので埋めるのが非常にためらわれた。このまま手元に残したいくらいだったがきりがないので先ほどとうとう埋めた。埋める前に、大好きだった男前豆腐を供え残りをいただく。2年あまり前にはなちゃんをそのさらに前に‘ぐう’といういずれもジャンガリアンハムスターを埋めた植木鉢に埋めた。掘り返す時、もしかしたら彼らの骨を見るかもしれないと思ったが掘ったところには何もなかった。マリーさんは大きいまま死んだのでこれまでの時より鉢が浅く感じられた。これまでの2匹のように、お弁当を持たせて土をかける。とても悲しい。上に、まつばぼたんの種をまいた。さよならマリーさん、というかそこにいるのね、マリーさん、と思うと少し安心する。相当、大好きだった。