ハロゲン化銀
高校の時は闇雲に以下のことを覚えた。AgF(無色) AgCl(無色) AgBr(淡黄) AgI(黄)これの説明を励起状態と基底状態とのエネルギー差で説明しても全く問題ないのだが、根本の解決にはなっていない。では実際にどういう電子の遷移が起こっているのか。Agの電子配置は[Kr]4d10 5s1結晶場理論においてd軌道が分裂したとしてもAgの4d軌道が満たされている為、配位子場遷移が起こらない。つまりハロゲン化銀の色がこう変わっていく理由は結晶場理論では説明が不可。そこで配位子場理論に着目する。ハロゲンが高周期になるにつれ非共有電子対の軌道が上昇する。(詳しくは量子力学で論じるべきだが、感覚的には電子核が増えていくと思ってもよい)つまり電子を放出しやすくなり遷移エネルギーが低下する。この様に一般的には配位子上に局在化した電子の軌道が中心金属への軌道に移るものをLMCT遷移というが、ligand to metal charge transfer transition という英語で書いた方が分かりやすい。先ほど無色と書いたが、いうまでもなくこれは可視光ではないという意味である。