よしなしご利根

2006/07/10(月)00:10

「最後まで勝負を諦めない」:コーチからの言葉

思ひ出話(6)

稲積公園の芝生に寝転がって読書。 心地よい涼しさは気持ちがいい。 最近ずっと読んでいて今日読み終わったのがこれ。 ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 もとはと言えば古本屋の100円コーナーで見つけて題名に興味を惹かれて買った一冊だった。 これは大当たりだった。 ビジネス本を読んでいて感動し涙を流したのは初めてである。(涙腺ゆるくなったかな?) カナダ人の経営者、キングスレイ・ウォードから息子への手紙の数々。 息子が17歳のとき第一通目が書き始められ、約20年後、その息子に会社を譲るまでの30通の手紙を記したノンフィクションである。 大学進学について、勉学についてといった学生編、仕事の進め方、部下との衝突、多角経営、銀行融資の取り付け方、役人との折衝、社員の解雇といったビジネス編、そして結婚、友情、自己資産の管理といったプライベート編から成る、非常に含蓄のある一冊である。 自らの言葉はもちろん、引用される偉人達の名言の数々が光る。 いくつもの言葉が心を捉えたが、ここでは特に3つを紹介したい。 「読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする」(フランシス・ベーコン) 「努力した上で失敗するのは恥ではないことを思い出してもらいたい。試みなかったことが悲劇なのである」(キングスレイ・ウォード) 「人生の価値は時間の長さではなく、その使い方で決まる。長生きをしても、空しい人もいる。人生の喜び(幸福)を見出すかどうかは、その身の上話ではなく、心の持ちかたで決まる」(モンテーニュ) 直面する具体的な問題に対する説得力のある人生の先輩からのアドバイス。 私も、最も尊敬する両親をはじめ多くの方の言葉によって少しずつ成長していると思う。 ボクシングをやっていた頃のTコーチも私にかけがえのない言葉をくれた1人である。 1年の浪人を経て大学に入学し、休会していたジムに復帰した時からお世話になったのがTコーチであった。 アマチュアボクサーとして初めて後楽園ホールでの試合、プロテスト、そしてプロデビュー戦と、すべてTコーチの指導のもとでステップアップしていった。 それだけにプロデビュー戦を1ラウンドKOで勝ったときは自分に対してだけでなく、コーチに対しても本当に嬉しかった。 しかし、私のデビュー戦の後ほどなくしてTコーチはジムから去った。 第三セクターで行政関連の講師をしているということだったが、お仕事が忙しくなったのかと思っていた。 30代後半であったろう彼がまさかその数年後に病気で亡くなってしまうとは夢にも思わなかった。 Tコーチは私の最後の試合となる3戦目の応援に来てくれていた。 しかしながら、1ポイント差の判定で私は負けた。 試合が終わった当日の夜中にTコーチから携帯にメールが。 鼓膜が破れ目も腫れ上がって視界の狭い私は必死に読んだ。 ------------------------ 「件名:よく闘ったぞ」 「お疲れ様。よくフルラウンド闘い抜きました。 Toneは納得いかないかもしれないけど、あれが試合というものでしょう。 二人のボクシングスタイルを見れば、ほとんどの観客はToneの方が強いと思ったはず。 しかし、勝てなかった。 今後の人生でも、こいつには負けないと思っていたのに、負けることがあるかもしれません。 しかし、どんなにカッコ悪くても、『最後まで勝負を諦めない』という心を持った者が勝ち残ることを今日の試合は教えてくれました。 その意味ではこれから社会人になるToneには、非常に大切な試合だったと思います。T」 ------------------------ 結果としてTコーチから私に遺された言葉となってしまったこのメールは今も5年前に使用していた携帯に保存してある 人との別れは突然やってくるかもしれない。 一期一会という言葉の重みを噛み締めた。 『最後まで勝負を諦めない』 コーチの教えをこれからも守っていきたい。

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