山を見上げて
2週間ほど前から、カトマンズの町をうろうろしている。薄い空気。肌を刺す光。恐ろしいほど青い空が落ちてきそうで、めまいがしそうだ……って、本の読み過ぎなんだけれど。『デス・ゾーン』河野啓→『神々の山嶺』夢枕獏と続けて、酸欠になりそうな状態が続いている。『神々の山嶺』は衝撃的だった。山に憑りつかれた、いや、山に憑りついた男の話。スリル、ミステリー、ロマンスとてんこ盛りだ。先が知りたくて、飛ばし読みして、またじっくりと。ぶれない男のかっこよさ、惚れてしまうわ。栗城史多さんは、羽生になりたかったんだろうなあ。ただ、それには多弁過ぎたのかもしれない……今はコロナ禍だから、エベレスト登山の許可は下りないが、ちょっと前までは、頂上に立つのに長蛇の列。画像が公開されていて、びっくり、ぞっとする。天候の良い合間を縫うので、集中してしまう。順番待ちで寒いし、足元は狭いし、ボンベの酸素はなくなるし。乱暴に言えばお金さえ払えば技術的に未熟でも登れるそうで、そういう人が立ち往生してしまうとか。外貨に頼るのもわかるが、命がかかっている。一定の条件をつけるべきだと、素人ながらに思いました。