春
この感じはあの頃と同じ。そうここは眠らない街横浜。上京して早七年。そしてあと二ヶ月で俺は26回目の誕生日を迎える。じっと街を見下ろす俺に、春の雰囲気がBGMのように俺の心の中で流れ、俺の思い出の一つ一つを嘗め回す。自分を磨きたい、成長したい。俺の人生に置いてどうでもいい言葉ベスト3にランクインする奇麗事である。鉄は磨けば綺麗になるけど、人間はそうじゃなない。縄文時代の土器はまだ残っているけど、人間はそうじゃない。人間は死ぬために生きている。尊敬してた先生が発した言葉。今の俺の為に発した言葉だろうか。ただ一つだけ言える事、それは人を幸せにする人間でいたい。普段考えていなかった事が考えられるようになった。そう、俺は夢を忘れていたのである。調度一年前俺は某生命保険会社の入社面接を受けていた。最終面接で目標の年収はいくらですかと聞かれ、お金を目標にしたくありませんと答えた。強がっていたのかもしれない。奇麗事を言ったのかもしれない。でもその時の俺にとっては正直な発言だった。でも最近こうお思うようになった。お金は男の大きさを表す材料としていいのではないか。ただ人生の目標としてはいけないという事も。俺は苦しむ事を忘れてしまったらしい。そして同時に幸せも忘れてしまった。ただこの一年は俺にとってのドッグイヤーにする為にプライドを捨てなければいけない。あなたのTALIは何ですか?