のらりんくらりん

靴下や靴などチグハグに物を身に付けたりすることを
我が故郷群馬県ではびっこひゃっこなんて言葉で表現していた。
全国共通語だと思っていたのだけれど方言だという話だ

さて、何年か前に勤め先の同僚に
『靴下の色柄を違えて履くオシャレが流行ってる』
なんて聞いた事があった。
誰がそんなのを流行らすの？！ちゃんちゃら可笑しいこっちゃと思っていた。

そんなある時、とてもじゃないけどオシャレには程遠い中年オヤジが
黒と青の普通の靴下を左右別に履いていたのを見た。

これはけして流行に乗っているワケではない。
ただ色が違うだけのフツウさは
慌てて履いてきたか、同じ色のがなかったから仕方なく履いたに違いない。


はたして、
色柄の違う別々の靴下を左右に履くのはオシャレなのだろうか？


と、思っていたら去年大々的に
１００円ショップでそのびっこひゃっこの靴下が売られているのを見つけた。
柄は一緒なのだけれど、配色が違う靴下が１足になっている。
カラフルな色合いが好きな私は、前々からその存在が気になっていたのだけれど
最近になってこの靴下を４足も購入したのだった。

しかし、やっぱり組み合わせられた通りに履く勇気は無く、
昭和生まれのプライドと自己の美的感覚が許さず、
同じ組み合わせのを２足ずつ買い、色合わせし直して履くことにした。


　　　　　

あえてオシャレにセットされたのを拒否して、
タダの派手な靴下として履くことを選んだ私が
まかり間違って、履き違えてもオシャレと言って貰えるのだろうか？



　　　　　　　　　　　　　




同じ会社に夜勤勤務する我が夫婦。
その日、主人は出勤で、私は有給休暇を取っており
翌日私が車を使う予定があったので、主人を送って行く事になった。

ふと玄関に脱ぎ捨ててある靴を見て目を疑った。
残った靴がびっこひゃっこだったのだ。

そういえば、シューズを色違いにして履くオシャレがあったなぁ～
なんて思い出してもみたけれど、
いくらなんでも、誰がどうみても履き間違いで、
履いた姿はお間抜けにしか見えないこの組み合わせ・・・

• 

息子の靴と間違えるならまだしも、
自分の靴で、全く見た目も履き心地も違う靴同士を間違えるなんて。
それも片方は捨てる予定になっているほど、底が減っていたハズ。

・・・・ありえない・・・・

と、思ったが勤務先の社員が
革靴と運動靴の組み合わせで出勤して来た話を聞いた事がある。
彼の場合は自動車通勤だし、他人に見られる機会は少なかったであろうが、
主人の帰宅は歩きかバスになる。

「バスで帰宅するのは恥ずかしいから歩いて帰宅するだろうけど
　その前にコンビニに寄るのは恒例だから、ちぐはぐの靴じゃ
　恥ずかしいよなぁ～」

なんて、心優し～い妻は思ったワケで
仕方が無いので、片方の靴を持って勤務先まで届けてやることにした。
（勤務先は車で５分程の場所なのでこういう時は便利である）
それに最近、個人固定の下駄箱が設置されたので容易に取替えは可能である。


その数時間後に帰宅した主人は・・・

「玄関の電気を点けないで履いたから
　会社の玄関で足元を見て驚いたよ」
（視力も低下しているんだから無灯火で事をしようなんて無茶な話）


「でさ、下駄箱開けて自分の頭がおかしくなったのかと思ったよ。
　確かに会社の灯りの下で見た時は、互い違いの靴だったのに
　帰ろうとして下駄箱を開けたらちゃんと揃った靴だったからさ。」
（不揃いの靴を履いて帰宅するまでの話も聞いてみたかった気もした）

オシャレとは程遠い我が家のオヤジの靴履き違え事件であった。