希望枠で大阪ガスの小嶋が入団することが決定したときにも別に心が踊ることはなかった。小嶋を獲るというのは3年前に小嶋がドラフトを回避して大阪ガスに入社したときから決まっていたことで、希望枠行使というのはその評価とはまるで無関係に決定されていたからだ。まぁ、ホント正直なところをいえば、小嶋は社会人時代は故障なんかもあって伸び悩んでいたらしいし、同じ左腕でも大隣とか金刃とかの方がおそらく評価は高かったんじゃないかと思う。ホントしつこいようだけど、阪神のドライチ投手は1年目に全く活躍しないというのはもはや学界の定説といっても過言ではないということもあって、即戦力としては全く期待してなくて、今年はしっかり体を作って2、3年後にエースに育ってくれたらいいなという風に思っていた。
ところが、キャンプから「いい球を投げている。使えるんじゃないか」と首脳陣や解説者等々の評価はうなぎのぼりで、紅白戦やオープン戦が始まっても0を連ねていって並みのルーキではないという論調が主となっていった。個人的には大阪ガスの先輩が同じくルーキイヤーに紅白戦オープン戦で24(?)イニング連続無失点なんてこともあったので、この段階ではまだあまり信用してはいなかった。
そんな素人のネガティブな意見とは関係なく小嶋の評価はドンドン上がっていって、なんと開幕3戦目の先発という大役をおおせつかった。この試合で実質初めて小嶋のピッチングを眼にしたけど、右打者の内角を鋭くえぐるクロスファイヤーのストレートがズバズバ決まるルーキーとは思えないような堂々たるピッチングで「これはホントに使えるかもしれない」とちょっとその気になった。その後の登板では初登板のときのようなズバッとしたクロスファイヤーは影を潜めてしまったけどそれでも調子は悪くても悪いなりになんとか試合をつくるピッチングにやはり並のルーキーではないなと思いつつ、登板を重ねるたびに悪くなっていってるような感じがするのがちょっと気にはなっていた。
そして、楽しいはずのGW生観戦3連戦が悪夢の3連敗となってしまった運命の4月30日、小嶋が先発して初回にスリーランを被弾して4回でKO。これで無念のファーム落ちとなってしまった。それでも持っているものの確かさは証明されてたので下でちょっとの間調整をしていけば再び小嶋の姿を見ることのできるだろうと思っていた。しかし、やはり件のジンクスの恐ろしさか、小嶋はこのファーム落ち以降見事なまでに失速してしまった。
なまじっか上の舞台を経験したばかりに早く上に戻りたいという焦りが小嶋を狂わせたのかもしれないけど、まだ若いんだから一軍昇格のための調整とかよりは焦らずじっくり今年はエースとしての土台作りに専念させたほうがよかったような気がする。
同じく高卒社会人出の巨人の内海は3年目でエース的な存在にまで成長してきたけど、小嶋もそんな感じで順調な成長曲線を描いてほしいものだ。
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