喜劇3本立て
また下北沢に、映画を見に行った。ついにと言うか、とうとうと言うか、当たり前と言うか…テケツの人に「今日は3本で宜しいですか?」と聞かれた。嫌だなァ、しょっちゅう行ってるから、顔覚えられたよ(笑)。今日見たのは以下の作品。「ちんじゃらじゃら物語」(昭和37年12月公開・松竹)「アワモリ君西へ行く」(昭和36年12月公開・東宝)「喜劇・団地親分」(昭和37年1月公開・松竹)「アワモリ君」はニュープリントだったから、まるで新作映画の如き、美しい画面だったが…あとの2本は目が疲れた(苦笑)。フィルムがボロボロで、色も褪せてたし…。「ちんじゃらじゃら物語」は昭和38年のお正月映画。松竹の映画なのだが、クレージーキャッツが主題歌を歌っていて、伴淳三郎が主役。そして他に千秋実・加東大介・三木のり平・フランキー堺・有島一郎・山茶花究・宮城まり子・八波むと志あたりが出演しているので、画面が完全に東宝カラー(と言うか「駅前シリーズ色」)に染まってた(笑)。物語の後半で、岩下志麻が出てきて、初めて松竹の映画だと認識したくらい(笑)。ただ、フィルムが本当にボロボロで、ストーリーのつながりがイマイチ理解できず、見るのにかなり苦労した。おまけに、終了15分くらい前に、いきなりフィルムが切れて上映が一時中断になってしまったし…。もう少し、キレイな状態のフィルムで見たら、もっと違う印象を受けたかもしれない。「アワモリ君西へ行く」は、坂本九・ジェリー藤尾・森山加代子の3人が主役のミュージカル映画(!)。東宝のミュージカル映画というと、昭和39年にフランキー堺が主演した「君も出世ができる」を思ったが、こちらも負けず劣らず、なかなかの作品だった。あまり面白くはなかったけども(苦笑)。「なかなか」ってのは、「ミュージカル」として巧く出来ていた、ということですから、誤解の無いようお願いします(冷汗)。とにかく監督が、あの古澤憲吾監督!のちのクレージー映画でやたら出てきた「突然ミュージカル」が、この時点で、すでに多用されていたのに驚いた。森山加代子は芝居下手だったが、九とジェリーの上手さ(演技のソツの無い感じ)は流石だった。「西へ行く」というくらいだから、宝塚映画制作で、物語の舞台は大阪が中心。脇も夢路いとし・喜味こいし・藤田まこと(3人ともメチャクチャ若い!)ら、大阪勢が固めていた。藤田まことの決めフレーズが、まだ「てなもんや」の前だから、「当たり前田の~」ではなく「ドンドンドン、あっ効いてきた」(薬のCMフレーズ)だったのも、オールドファンにはさぞかし堪らなかっただろうと思う。またジェリー藤尾の母親役が、寄席色物の名人、都家かつ江師匠だったのも、懐かしさに拍車がかかっていた(笑)。3本目「喜劇・団地親分」も松竹の映画。これは制作が「関西喜劇人協会」、賛助が「東京喜劇人協会」という作品なだけあって、まさに喜劇のオールスターキャスト作品。おまけに脚本が花登筐 !主題歌が何とフランク永井!なんだかもう豪華過ぎて訳が分からない(笑)。主役は、関西喜劇人協会会長の伴淳三郎。しかし何で、東北出身の伴淳が「関西」の代表なんだろか…?確か小林信彦氏の「日本の喜劇人」にも、そんなことが書いてあったような気が…。以下、出演者を並べる。(関西勢)伴淳三郎・芦屋雁之助・芦屋小雁・大村崑・茶川一郎・花菱アチャコ・藤田まこと・曾我廼家明蝶・ミヤコ蝶々・南都雄二・かしまし娘・島ひろし・ミスワカサ・秋田Aスケ・秋田Bスケ・夢路いとし・喜味こいし(関東勢)榎本健一・森繁久弥・三木のり平・トニー谷・堺駿二・由利徹・南利明・佐山俊二・渥美清これが主要メンバーなんだから怖ろしい(笑)。映画としては凡作だったけど、次から次へと名喜劇人が出てくると、ただそれだけでウキウキしてしまう自分が嫌だ(笑)。関東勢ではエノケンと森繁と渥美清が、実に素晴らしかった。ヤクザの親分が、娘の結婚のためにヤクザから足を洗って、団地に住んで「文化人」になるべく努力するという凄い話だったが…。これは一種の「風刺ものの喜劇」なんだろうが、風刺のターゲットがやや的が絞れておらず(「横のつながりが無い暮らし」とか「義理・人情に薄い団地族」とかなんだろうけど)、ストーリー展開はまあよかったが、そこを具体的にすると、もっと面白かったと思った。しかし、悲しいかな伴淳三郎の笑いは、全体を通して、やや現代との「ズレ」が見えて、あまり笑えなかった。そこ行くと森繁久弥は見事という感じ。だって若いお客さんも結構笑ってたもの。…また文章がやたらに長げえや。もう少し、文を簡潔に書くようにしないといけないな。