テーマ:スポーツあれこれ(11385)
カテゴリ:スポーツから旅行、映画など何でもOK
五度の全国制覇を誇る高校ハンドボール界の“雄”伊奈高の男子ハンドボール部がいま存続の危機にあります。十九日行われた高校最後の県高校総体は三年生八人で挑みましたが、決勝で藤代紫水に敗れ、十一年連続で出場していた全国高校総体(インターハイ)を逃しました。二年生以下の部員が一人もいない伊奈にとって、今秋以降単独チームでの大会出場のめどはまったく立っていません。本県スポーツ界は栄光の歴史を刻んできた伊奈という全国に誇れる宝を一つ失おうとしています。伊奈高はインターハイで三度、全国選抜大会と国体で一度ずつ優勝している全国有数の強豪校。全国選抜大会にも十二年連続出場を果たすなど抜きんでた存在で、中学の有力選手はこぞって入学を希望しました。そんな伊奈高に衝撃が走ったのは一昨年四月。チームを一から育て上げてきた滝川一徳監督が藤代紫水高へ突然異動しました。県の方針により、県立高では一九九五年から段階的に同一校への勤務は新規採用で八年、そのほかは最長で十五年と決められ、農業や工業など一部の専門教科を除いて該当する教諭は強制異動になります。同一校に長年いることの弊害を取り除き、学校の活性化を図るためで、伊奈高を育て上げた滝川監督も例外ではありませんでした。スポーツ界では有名監督の下に選手が集まってくるのは必然です。滝川監督の異動に伴い中学時代に活躍した選手たちも後を追いました。滝川監督の後を引き継いだ伊奈高ハンドボール部OBの飯村裕志監督も、昨年のインターハイで優勝するなど結果を残してきたが、講師であるため契約は一年。「私に力があれば一年だけでも選手を預けてくれるだろうが…」と苦しい胸の内を明かし、塚本博樹主将(三年)は「無くなるのは寂しい」と複雑な表情を浮かべました。県高校総体で優勝した滝川監督も自分を慕ってきてくれた選手同士の対戦に「何とも言えない。つらい。県立高なので異動は仕方ないが、もう少し考えてほしい」と涙ながらに訴えました。同様の問題はハンドボールに限ったことではありません。。他競技でも近年、指導者から県教育委員会の強制異動方針について悩みを漏れ聞くことも少なくありません。ある競技団体の関係者は「強いチームを一からつくるためには十年かかるが、強くなったと思ったら異動になってしまう。四十歳を過ぎると、学校でそれなりの位置に就くので、部活に対する時間が少なくなって難しい」と説明します。この現状に滑川正昭県保健体育課長は「われわれもジレンマを感じている」と話し、「(学校に)残してあげたいが、ルールがある以上しょうがない。専門性の強いスポーツほど指導者が限られてしまう」と、各競技での指導者不足に頭を悩ませています。また、県高校体育連盟の青柳正美会長は「在任中から後継者の育成も考えなくてはいけない」と指導者へ要望します。少子化に伴い、最近は各高校が特色ある学校づくりに取り組んでいます。私立高だけでなく、県立高もいかに特色ある教育ができるかが問われています。部活動は、その特色づくりの一つと言えるでしょう。指導者の異動について異論はありませんが、今の人事ルールの中ではせっかく向上した競技力が衰退する可能性もあります。指導者の異動と競技力の向上を両立できる方法を、探っていく必要があるのではないでしょうか?
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Last updated
June 21, 2005 08:14:08 AM
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