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指値で印刷を発注するという豪胆な社長さんがいます。もちろん、大体の印刷経費の見積もりができるほど、業界経験が豊富な方です。判型はこれで、何ページの本で、紙はこれを使って、何部刷ると指示し、この仕事はいくらいくらでやってくれと言うわけです。
ほとんど嫌とは言われないそうです。3、4社の印刷会社さんを順番に回して、1社に絞らないのは、緊張感の継続とリスクヘッジから、とのこと。担当の営業さん同士も顔なじみで、他社さんがどれぐらいの仕事を請け負っているのかも当然知っているそうです。 先払いの社長さんもいます。印刷の見積もりは、編集者に任せず、社長さんが全部取り仕切り、提示額のある程度を値引きさせ、企画の都度、合い見積もりを取り、競合させるとのこと、仕事薄の印刷所は、とんでもない金額で、時々仕事をやってくれるそうです。 お一人でやっている版元さんの社長さんが、未払いの印刷費が、1社だけで2千万円を超えたと仰っていたときもありました。1冊百万として、20冊分以上が未清算のまま動いていたことになります。 出版社の場合、人件費のほかにもっとも大きな経費が、紙を含めた印刷製本代でしょう。DTPやデザイン費も、今の製作体制では相当な割合のものですが、これは後述いたします。 ちょっと酷な言い方ですが、どんなに仕事が忙しくなっても、人員を増やさなければ、人件費はそれほど増えるものではありません。版元の仕事の忙しさと印刷量は正比例の関係にありますから、仕事が増えれば、新刊、増刷の印刷経費が右肩上がりで上昇カーブを描くことになります。 ですから、紙を含めた印刷製本経費の圧縮を、版元の全経営者は考えているわけです。こんな不況時にはなおさら、新刊を出さなければ売り上げ増は見込めない。増刷しなければ、入金の底上げにはならない。でも、印刷経費は天井知らずに伸びてしまう。とにかく1円でもどうすれば縮減できるかを企画の段階から知恵を絞ることになります。 昨年、一昨年と紙が連続で高騰したとき、全取引相手の印刷会社さんに対して、印刷代の20パーセントを値引きするよう要請した版元さんもあると聞きます。 これまでは企画の都度、選定していた紙を、一般的な上質紙一種類に絞り、年間の紙代を相当金額抑えた版元さんもあります。 各社さまざまな取り組みをされています。それでは小社の試みを次回に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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