アイスピックで ぐさり!
『 やすしのピアスの穴をほがそう!! 』主人の出張日を狙っていつものように集まった音楽仲間はお酒も入り、かなりのテンションの高さだった。『 みんなで、ピアスの穴ほがしちゃるけん。 』突然の友人の言葉にみんなはいっせいにやすしを見た。やすしは友達の中で唯一ピアスをしていない。やすし本人もアルコールのせいかやたらはしゃいで大乗り気になっている。 急なことで、ピアスの穴あけの器具がない。かわりに、ミシン針でやることにした。 やるのは私だ。痛くないようにやすしの耳を氷にはさんで、ジンジンと冷やす。そして、消毒したミシン針で一気に穴を開ける!プッン!という感触が指に伝わり穴が通った。だが、穴が小さすぎてピアスがはいらない。同じところにもう一度、ミシン針を突き刺す。何度も、何度も。それでも、小さい穴がポツンとできただけで、どうしても、ピアスがはいらない。ここで、私は家にあったアイスピックを持ってきた。『 これがいい!今度こそでっかい穴がほげるよ! 』私はアイスピックを振り上げた。やすしは両方のズボンをぎゅっと掴んで目をとじて切腹前の武士のようだ。『 観念しんしゃい !! 男になんしゃい !! 』 『 エイ!』掛け声とともにやすしの耳たぶにブスリ!とアイスピックをつきたてた。『 あいた、た、た、た! 』 ブッチン !!気味の悪い音がした。見ると、アイスピックの先が思いっきり、耳たぶの裏側に出ている。アイスピックを抜き取るとジョワ~ンと血がでてきた。タラ~っとやすしの首筋に流れてきた。 やすしは耳をおさえて『 アイタタタ! 』とピョンピョン飛び上がっている。みんなでやすしの耳を見てみた。『 おっ!でっかい穴があいとう。 』そこには少し裂けたような立派な穴があいていた。無事にピアスも通り,やすしはいつまでも嬉しそうに鏡をみていた。 『 男になったやすしにカンパーィ! 』私達は再び呑み始めた。酒盛りはこのあともしばらく続き、男になったやすしはとくにご機嫌だった。そしてやすしの言ったこの言葉が次の事件のはじまりだった。 『 シド ビシャスの腕の十字が、かっこよかろうが。 』 つ づ く ..... 全部実話です。あたりまえニャ。