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カテゴリ:ミンツバーグ研究
「何百万人という人間がそうしたイメージを実践でなぞっている。・・・(中略)・・・従来型のMBAプログラムの卒業生は、額にドクロ印のスタンプをしっかり押して、『警告-この人物はマネージャーになる準備ができていません』という注意書きを掲げておくべきだ」と手厳しい。 9項目それぞれについて、私が感じるところを述べてみたい。 1. マネージャーはみんなの上に座る偉い人で、製造やサービスの仕事には手をわずらわせない。マネージャーは「上」に行けば行くほど、偉くなる。「トップ」に座る最高経営責任者は、会社そのものである。 ・・・多くの会社がそうなっていて今も変わらない。MBA教育がそれをなぞっているのだとしたら、MBA卒業生が幅を利かす限り、何時まで経っても状況は変わらないだろう。・・・ 2. マネジメントは、体系的分析に基づく意思決定である。つまり、マネジメントとは考えることであり、それはアートというよりサイエンスだ。クラフトなどまったく出番がない。 ・・・クラフト中心では、後輩は何時まで経っても先輩を越せない。経験重視の風潮にあれば、心あるものはサイエンスに渇望する。ところでアートは?一握りの経営トップの掌中にあった。・・・ 3. 意思決定に必要な情報は、言葉と数字からなる簡単な資料によって得る。意思決定をおこなうために、数字に「手を加え」、言葉を議論し、その過程でいくらか「倫理」も考慮する。 ・・・多くの経験をサイエンスに仕立て上げるために必要な手続きだが、忙しさにかこつけると、これさえもないがしろにされる。とどのつまり、判断の基準はいつも、その場その時、最も影響力のある上司の経験則に拠ってしまう。・・・ 4. マネージャーの下にある組織は、MBAの科目と同じように、財務、マーケティング、会計などの業務機能ごとにきれいに区分されている。それぞれの部門は、それぞれの手札であるテクニックを活用する。 ・・・会社が大きくなるに従って個人の職務はどんどん専門化していった。つぶしの利かないスペシャリストは育ったが、経営全体を眺望するゼネラリストは育たない。 ・ 5. これらの業務機能を統合するために、マネージャーは「戦略」を打ち出す。その戦略は極めて特別なもので、いかに謎めいて見えても、業界分析を学び、ケーススタディの教室で戦略立案を体験した部下たちには理解できる。 ・・・少数の経営トップを除く中間管理職の多くは、トップのご用聞きに甘んじているきらいがある。そうなると、必要以上の「お伺い」や「稟議」がまかり通る。・・・ 6. 最善の戦略は、明快でシンプル、入念、大胆なものである。面白いケーススタディに登場するヒーロー型のリーダーが打ち出す戦略のように。 ・・・戦略は、経営トップが指令し、それが悉く当たってきたように見えた。右肩上がりの経済下ではいつも前年アップ。ところが良く見ると、ライバルとの上昇幅の差を見落としていた。時には意識的に。・・・ 7. MBA資格をもつマネージャーが戦略を立案した後は、部下(「人的資源」と呼ばれる)がかけずり回ってそれを実行に移す。戦略の実行は重要であり、マネージャーがコントロールするが、マネージャー自身が実行に携わることはない。 ・・・公私にわたってロイヤリティが求められる空気が流れる。しかし時代の移り変わりに連れ、計画に部下が参画し、実行に上司が加わるのが当たり前になってきた。・・・ 8. しかし、戦略の実行は容易でない。ビジネススクールで学んだことのない「人的資源」は変化に抵抗する。そこで、マネージャーはテクニックを使って「官僚体制を叩く」必要がある。その上で、言われた通りの仕事をする意思のある部下に「権限委譲」をおこなう。 ・・・マネージャーは、よほど自分に同調していると思わなければ、「権限委譲」をおこなわない。マネージャーには、積極的に「権限委譲」を行おうとするものと、地位にしがみついて「権限委譲」を拒むものの二通りに分かれる。 9. このようなマネージャーになるために、そしてすべての人の上に立つリーダーになるためには、先ず二年間ビジネススクールにおとなしく通わなくてはならない。そうすることによって、あらゆるものをマネジメントできるようになるのだ。 ・・・ビジネススクールに通うことを奨励してはいないが、それと同じようなことを個人の自助努力に求めている。しかし、現場とかけ離れて、勉強のための勉強をしても無意味だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Apr 19, 2010 03:31:37 PM
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