高知に自然史博物館を

2013/12/19(木)21:09

「放射能は土中に拡散する」より転載

 豊かな自然がある時には,ない時に比べ「除染」が早く進行するのではないか,と私は空想している.「生物学的除染」のアイデアは,その空想の産物である.このアイデアをもう少し説明するために,過去の記事を再掲載する.  まず2012年2月7日の記事「放射能は土中に拡散する」より.記事の主要部分を転載する.ミミズが住めない土地では地表が汚染されたら,除染しない限り汚染は地表に留まるけれど,ミミズが住んでいれば土は混ぜ合わされて,汚染は地中に拡散する,という趣旨である. (以下転載)  地表に降り注ぎ,土に付着した放射性物質は,土中深くしみ込むことはないだろうか?  土は人が耕さない限り上下が混ざり合うことはない,と一般にイメージされているかもしれないが,それは違う.なぜなら土の中には生物が住んでいる.そういう生物の活動が活発であれば(つまり「自然」が生きていて,豊かに息づいていれば),土は常に「耕されて」いる状態にある.  かの進化論の元祖チャールズ・ダーウィンは,ミミズの働きに注目した.ミミズは土を食べる.そして糞として土を排泄する.この働きが土を「耕す」.表層の土と深部の土は,こういう土壌動物の作用で常に混ぜ合わされている.  歴史はなぜ「発掘」されるのだろうか.どうして過去の遺跡は土の中に埋もれているのだろうか.それはミミズの働きなのだ,というふうにダーウィンは考えた.  クソミミズという名のミミズがいます.芝生などで地面に小さな穴があいていて,その穴の周囲に乾いた土が盛り上がっているようなら,それは多分クソミミズの穴です.このミミズの働きは明快です.土を食べる.そして地表に糞をする.結果として土を下から上にいつも運んでいることになります.ミミズが食べない成分(たとえば遺跡)は年数を経るごとに土中に沈み込んで行きます.  放射能を含む土も,ずっと地表にあるだろうとは考えにくい.土壌生物の働きで土は自然に耕され,混ぜ合わされるので,放射能もあちこちに散らばります.そして全体としての平均的な結果は,最初は地表にあった放射性の土は,放射性の「層」として,次第に地下に沈み込んで行くだろう,と考えられる. (転載おわり)  以下は雑談.  遠い昔,高知市で「生コン事件」というのがあった.汚染水を川に流し続ける製紙工場の排水パイプに,ある人が生コンクリートを詰めた.乱暴な方法であったが,この事件をきっかけに製紙工場は操業を停止し,川の汚染は止まった. http://blog.livedoor.jp/uradowan/archives/2009-06.html  しかし汚染源がなくなっても,すでに汚染された川は元に戻らない.川底の泥を除去して捨てる作業も何度か実施されている.しかし,生コン事件から40年を経た今も,川は完全に浄化されたとは言い難い状態である.  おおかたの賛同を得られないと思うけれど,私は川の自然をもっと復活させるべきだと考えている.豊かな自然がそこにあれば,川の汚染は意外な早さで除去されるのではないか,と空想している.

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