さよなら原発・江東

2012/01/24(火)18:49

放射線・放射能の話(14)

放射線・放射能解説(17)

今までは、どの程度の量の放射性物質が今議論されているシーベルトやベクレルの値に相当するのかを議論してきました。今回は、原発事故で放出された放射性物質の化学的性質について触れたいと思います。原子炉ではウランの核分裂反応を利用していますが、その残りかす(死の灰)にはどうのような放射性物質が含まれているかということを知っておく必要があります。クリプトン85、キセノン133、キセノン135 これらは化学的には希ガスとよばれ、気体で放出されています。気体ですので、どこかに留まってホットスポットになることもありませんし、水にも溶けたり化学反応することはないので体内に入ることはありません。キセノン133と135の半減期は10日以下ですので、原発が水素爆発して以降大量の放出がないとすれば、環境中には残っていないと考えられます。クリプトン85は10年くらいの半減期ですので、まだ残っているはずですが、大気に希釈されてその影響は無視できると思われます。・ヨウ素131ヨウ素は海草類などに多く含まれるミネラルでもあり、生物ないに吸収されます。特に甲状腺にたまりやすく、チェルノビイリ事故ではこれが原因で甲状腺癌の発症は増えたといわれています。ただ、半減期が8日なので、原発が水素爆発して以降大量の放出がないとすれば、環境中には残っていないと考えられます。原発事故直後に体内に吸い込んだ人たちには将来影響がでるものと思いますが、すでに放射線を放出して別の元素に変わっているので、対策のしようがありません。 ・セシウム134、137セシウムはナトリウムやカリウムと同じ仲間の元素になります。食塩が塩化ナトリウムであることからわかるように、水に溶けやすい(イオン化しやすい)という性質をもっています。植物の中にはカリウムを吸収しやすいものがあり、カリウムと同族のセシウムを吸収します。食品の汚染を気にする必要があります。水に溶けやすということで、雨水がたまりやすいところに集まり、ホットスポットを作ることがあります。下水から汚泥処理施設にたまったり、河川や海の流れ魚などへの蓄積が懸念されます。半減期も2年と30年ですので、長期的に影響が残ります。NHKの特集でも、研究者が放射性セシウムが雨水とともにどのように移動するかのシュミレーションをしているのが紹介さえれていましたが、河川や海洋に大量に放出された初めてのケースであり、今後どのような影響がでるのかは、研究されつくされているとは言えないようです。 ・ストロンチウム89、90ストロンチウムはカルシウムの同じ仲間の元素ですので、体内に入った場合には骨に蓄積されるといわれています。ストロンチウム90の半減期は30年ですので、セシウム同様に長期的に影響が残ります。その他プルトニウムをはじめ、重たい元素も生成されますが、原発周辺以外には拡散していないといわれています。そのあたりの真偽は確かめる必要はあるとは思いますが、生半可な知識で触れるのは避けたいと思います。放射線量を測るのは比較的簡単ですが、放射性物質を特定するのは容易ではありませんので、研究者の努力に期待するしかありません。今のところ言えるのは、放射性セシウムとストロンチウムとどう向き合うかということになると思います。このあたりは、設立の会でパネラーを引き受けてくれた権上さんの専門になりますが、なるべく取り込まない、取り込んでも排出する工夫をするということになると思います。そのことについて詳しく知りたい方は、権上さんの資料やパネルディスカッションのDVDをお分けします。このブログの左下のメールフォームからご連絡ください。 にほんブログ村

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