【世界を恐怖に陥れた水爆怪獣】
1954年当時の「ゴジラ」映画は、「ゲテモノ映画」呼ばわりされていたとのこと。しかし、歴史的には、特撮映画として金字塔を立てたシリーズとなっています。
アメリカのキングコングから遅れること、21年。終戦の傷跡がなお残る日本に、怪獣が出現。しかも、アメリカの水爆実験の影響によってもたらせたものとなれば、世界で唯一の被爆国である日本としては穏やかではありません。日本に原爆が投下されて、9年しか経っていない時期。
ゴジラは、ビキニ島の核実験による第5福竜丸事件をきっかけに生まれた。ゴジラは怪獣という人間の恐怖の対象物というだけでなく、核の落とし子的な存在と、政治性をもった生き物として人間の前に登場した訳だから、その衝撃は大きかったに違いない。
山上からゴジラの頭が出てきた時は、背筋が凍るほど。国会では、女性議員が議論白熱。男性議員が押され気味の感じを受けるのは、現代に通じるものがありますね。
ゴジラから破壊されていく東京を見て、戦争の空襲で廃墟となった都市を思い起こしたとのこと。ゴジラの生態を紐解き、ゴジラを消滅させようと真剣に取り組む姿勢は、人類をゴジラから守ろうとする、平和への執念を感じますね。反面、オキシンジェンデストロイヤーで死んでいくゴジラの映像は、悲観的で寂しい感じがします。
ゴジラ・シリーズの初版となり、アメリカにも輸出された怪獣映画。日本映画の歴史を語る上では、必見の価値ある映画ですね。
*ゴジラ