税理士試験発表日の思い出
毎年この時期が税理士試験の発表である。年によって日はズレるが12月の10日前後の金曜日に通知が国税庁から発送され、土曜か週明けの月曜に届く毎年土曜に届くのはまれで、土曜日に何度も何度もポストを確認して気が気でない土日を過ごして月曜に通知が届くというパターンがほとんど。税理士試験は、8月にある一年に一回の国家試験で、通算で5科目に合格しなければならない試験であり、通常、年に一科目か二科目を受験する人が多い親が税理士事務所を開業していたが、税理士になる気はさらさらなく優秀な弟が継ぐのだろうなというくらいの気持ちしかなく大学では全然関係のないスポーツ科学を専攻した。大学のときに一度”簿記”のテキストを買って読んでみたがなんのこっちゃわけがわからず、数ページ見ただけでそれ以降開くことはなかった。自分で起業したいという夢はあったので、大企業を経験しようと思い、大きな会社に絞って就職活動し運よく、大日本印刷株式会社という印刷業界では世界一の会社に拾っていただいた。大日本印刷株式会社を退職し、起業を試みたが、税理士である父親にプレゼンするも「甘い。」と一刀両断され一転して税理士の資格を取り、父親の会社を継ぐ方向にチャレンジすることになった。たしかに、振り返ってみるとあのころの計画は甘かった。計画的にも、状況予想も、資金的にも。よく若い方から起業したいという相談を受けるが、きちっと計画的にも資金的にも準備できている人もいるがええ話だけ聞いて、理想ばっかり妄想して、起業するだけで金持ちになれると夢見ている人の相談も受けるが自分も若いころ起業を試みて考えが甘かった経験があるので、今の考えでは甘い。ということはちゃんと伝えることができる起業を考えていたとき、よくセミナーや勉強会に参加したがしょっぱい自称コンサルタントほど、「とにかくやりましょう!」とやたら起業を進めるが、その人のことを本当に考えてあげたら甘いもんは甘いというべきだ。くそみたいなエセコンサルタントが山ほどいた。私は大日本印刷株式会社を辞め、起業計画が白紙になり、父親の事務所で修業しながら勉強し、合格まで7年間かかったこの合格するまでの7年間は本当に地獄だった。8月の試験が終わり、12月の発表までの4ヶ月間この期間だけが、毎年”生きていられる”期間でだった。絶対合格してると自信があったが落ちていた年もあったり試験の手ごたえがなくても、ミスをやらかしたのがわかっていても多くの人が期待しているので、8月の段階で白旗を挙げるわけにはいかない。自信がなくても、今年は合格してるわ!と虚勢を張るしかなかった12月の発表になると、友達や多くの人から、どうやった?と連絡がくる。結果も言ってないのに”おめでとう”というフライング祝福をしてくれたり、合格祝いが送られてきたりもした「ごめん。あかんかった。」と返事するのが本当に情けなかった。よく、何でこの人が?という人が自殺するというようなニュースを聞くが(自殺と見せかけられて消させるというケースも多いと思うが)自殺する人の気持ちがよくわかったお金が回らず、行き詰って自殺を選ぶ人もいるだろうが、「こんな情けない姿はもう人には見せられん」という気持ちでプライドが高い人などが自ら死を選ぶ気持ちがよくわかった。また落ちたと皆に報告する情けなさ、期待を裏切った罪悪感苦手な勉強をまたせなアカン、お金もない。彼女もいないこんな試験受かる自信がない。前の会社の同僚は、劣悪だった給与体系も改善され、どんどん出世していき、収入も上がっていくそれに比べお金がない、時間がない飲み会があっても、夜には勉強をしなければならず酒を飲んだら寝てしまうので、酒も飲まなくなれば弱くなりお金がないので、後輩に飯を奢ってもらい、励まされしょうもない男子校に行ってしまった高校三年間と税理士試験受験中の七年間の合計10年間私の人生の中で”暗黒の10年”というか”失われた10年”があるしょうもない男子校に行ってしまった三年間も税理士試験勉強中の地獄の7年間も、真っただ中にいるときは、ものすごく長く感じたが今になるとあっという間の失われた10年間だった人生100歳まで生きるとして10%の10年くらいは暗黒の期間があってもいい。逆にそれがバネになって力になる。税理士の試験は、たとえ何科目合格してようとも、税理士になるとならんでは大違い。人が人を紹介しやすくなり、男も女も人脈の幅がものすごく広がったそりゃ、「税理士の勉強中の兄ちゃんです。」というよりか「大阪市内で開業してる税理士さんです」というほうが紹介する人も紹介しやすい。ただ、税理士になったとしてもそれがスタートでしかなく、その先のビジョンを描いていなければ、そこで人間が終わってしまう。税理士は試験を通ってからが大変だ。という話はよく聞いていたが、まさにその通り。毎年変わる税制改正、税金の知識、経営の知識、法律の知識さまざまなことを勉強していかなければならない試験勉強の時間的・精神的プレッシャーとは違うゾーンで専門家としてのプレッシャーに耐えれるように知識や経験で武装していかなければならない。税理士試験の発表でよかった人も悪かった人も、税理士試験とは全部終わって初めてやってよかった。と心から思える試験です。税理士の試験に合格するには、結構の年数がかかった人が多いけど、僕みたいに税理士試験でくすぶっていた7年間の間に、友達は皆、会社で出世して、キャリアアップして結婚して、子供出来て。。。と、どんどん先に進んでいる猛スピードで追いつけるよう来年も驀進していきます!