誰かが言わなきゃならない

　日本では高度成長の頃から食べ放題・飲み放題をやる店が増えた。それまでもバイキング方式のホテルなどはあったが、高級寿司の食べ放題、しゃぶしゃぶの食べ放題など高価な食にも食べ放題が現われている。

　これは食文化の堕落以外なにものでもない。「消費者の望むところを実現するのが我々の役目」とする飲食店をはじめとする企業の考え方はおかしい。食べ放題・飲み放題は人間の一番浅ましい本能の要求を煽りたてようとするもの。

　食材を大切にし、食材を活かしきっていくところに料理人なり、飲食店の役割があったのではないか。料理人は食べる人の身体の状態に合わせて、食事の種類やボリュームを考えるもの。その選択や量を食べる人に任せるというのはその役割を放棄した無責任な金儲けだ。