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カテゴリ:道草百人一首
【50】君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな
藤原義孝(954年~974年) 平安時代中期の公家・歌人。父は摂政・太政大臣・藤原伊尹(これまさ:第45番「あはれとも~」)。中古三十六歌仙の一人。子に三蹟の一人藤原行成がいる。 注釈: 「し」:過去の助動詞「き」の連体形 「もがな」:願望の終助詞 「かな」:詠嘆の終助詞 歌意: 君のためなら惜しくはない命だったが、思いを遂げた今朝は、その命が長らえてほしいと思ってしまう 説明: 詞書に「女のもとより帰りてつかわしける」とあるので、恋人と結ばれて翌朝帰るときに読んだ歌である。逢うためなら命も要らない⇒一日でも長く生きたいと心情が変わったことを読んでいる。 余談: 義孝は評判の美男子であったが、この歌の願いもむなしく、天然痘のため21歳の若さで兄と同じ日に死んでいる。このため父伊尹の権勢はその弟の兼家の家系に移っていく。 蛇足: 義孝は仏教心が厚く、魚や鳥も食べず、公事の合間に法華経を唱えるような人であった。酒の肴に鮒にその卵を和えたなますが添えられているのを見て、「母の肉に子を和えたものを食べるなんて」と涙ぐみ立ち去ったという。現代の親子丼を見たらなんと言うであろうか。 欄外: 一太郎で「君がため」と打つと「君固め」というプロレス技のような言葉が出てきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.11.30 23:04:29
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