2008/05/07(水)12:14
『月館の殺人』 漫画:佐々木倫子 原作:綾辻行人
祖父―まだ見ぬ唯一の肉親に会いに行くため、夜行列車に
乗り込んだ17歳の女子高生・空海(そらみ)。
だが、乗り合わせた乗客達はあまりにも奇妙、しかもはじめての北海道、
雪、列車と、沖縄育ちの空海を眩暈がするほどの混乱が襲い…
そんな中、事件は起こる!! (上巻紹介文より)
祖父に会うべく夜行列車に乗車中の女子高生・空海。
だが突如、乗客の死体が発見され事態は急転、途中下車を余儀なくされる…。
はたして空海の運命は?そして、謎の連続殺人犯"テツキラー"の正体とは!?
(下巻紹介文より)
たまには漫画でも…、と思い久々に読み返してみました。
佐々木倫子さんが好きで、綾辻行人さんの『~館の殺人』シリーズは
一応全部読みました、という私にはかなり魅力的な漫画。
あ、でもこれ『月館の殺人』と書いて『つきだてのさつじん』と読みまして、
『~館の殺人』シリーズとはまったく別物です。
思わせぶりなこのタイトルに、綾辻さんの遊び心を感じますね…。
なので、鹿谷門美こと島田潔や河南君といった、『~館の殺人』シリーズで
お馴染みの登場人物は出てきません。
でも、建物(今回は列車ですが)にちょっとしたからくりがあることや、
「なにもそんなに殺さなくても…」というくらい、人がいっぱい死ぬところ
なんかは、『~館の殺人』シリーズの流れを汲んでいるかもしれません。
綾辻さん原作のミステリ、ということで、わりと重厚な感じの漫画を
イメージしていたのですが…。
やっぱり、佐々木倫子ワールド全開です(笑)
様々な鉄道オタク=テツの面々が登場。
コレクションテツ・撮りテツ・乗りテツ・時刻表テツ・模型テツなど
それぞれがまた、佐々木さんならではの強烈なキャラクター達で。
密室や連続殺人といった暗ーいムードを彼らがぶち壊しにしてくれます(笑)
テツ達のあやしさ炸裂の言動に翻弄され、グダグダになりながらも、
なんとか真相を究明して行く空海。
ラストは「え~っ」という感じがしないでもないけれど、
ある意味、綾辻さんらしいオチかもしれません。
ミステリのはずなのに、かなり笑えます。
佐々木倫子さん好きじゃなくても、綾辻行人さん作品を知らなくても、
鉄道に詳しくなくても、ミステリにあまり興味がなくても、
十分楽しめる作品だと思います(*^-^)