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![]() シリーズ第5弾で石坂・金田一の最終作。写真館で出会った娘の元を訪れた金田一は、その“病院坂の首縊りの家”で繰り広げられている惨劇に出会う……。 一人の女性の悲劇から始まった連続殺人事件の行方とは? 久しぶりの邦画。 もともと世代的に金田一といえば、耕助ではなく一(はじめ)のイメージ。 「じっちゃんの名にかけて」の、じっちゃんなんだよね、金田一耕助は。 かの有名な犬神家の一族は何度か観たし、確か近年でもリメイクされていたような気がするけど、病院坂とか獄門島とかは、ちょっとまたマニアックな印象。 公開年は1979年。 もちろん、生まれてないよ笑 でも、いい映画は何年経っても、誰が見てもいい映画なんだよ。特に、市川崑監督の金田一シリーズは丁寧に作られているから、この映画をみたら誰でも何かしら感じるところはあると思う。まぁ、人間関係が複雑すぎて何回か見ないと分からない部分もあるけど笑(黙太郎が金田一に家系図を説明する場面、初見ではちんぷんかんぷんすぎて意味がわからなかった) この映画で一番の肝となるのは、やはり悲劇の人、法眼弥生さん。 ネタバレ的に言うと、今作の犯人。由香利ちゃんは事故、山内敏夫は自殺、弥生さんが殺害したのはピーター(役名失念)と写真館のおじさんの二人だったよね、確か。あ、あと諸悪の根源である猛蔵もか。 でも、なんかただ犯人だったとか、そういう簡単な話ではない。運命に翻弄された本当にかわいそうな人だと思う。とにかく彼女が義父から受けた仕打ちが全ての始まりで、そこから娘世代、孫世代へと悲劇が繋がれ、何の因果か娘と孫が瓜二つという因縁めいた偶然がまた悲劇を生んで、、 まあ、由香利ちゃんの性格は相当アレだったけど、、 せめて小雪くらいは、その因果から解放してあげたいっていう、弥生さんの気持ちみたいなのもあったのかな。それまではただ旦那の妾だった、冬子の子供としか思ってなかったかもしれないけど、冬子が自分の子供となればね、、小雪は孫になるわけだし。娘の由香利を失った今、弥生にとっては唯一血の繋がった存在になるし。(多分) 作中でも言及されていたけど、弥生が小雪の境遇に同情するのは理解できる。だから娘が死んだ後も、それを抜きにしても小雪を保護した。それぞれがそれぞれの業に縛られて身動きが取れない中、弥生のせめてもの復讐だったのかな、今回の事件は。 主なトリックは由香利と小雪の双子マジック。(桜田淳子の一人二役) この二人の関係は叔母姪になるのかな? 途中、よく分からなくなってGoogleさんで「病院坂 相関図」で検索したら、有志の方々が制作していた相関図が出てきたんだけど、弥生さんの子供が万里子ってなってて、え?ってなった。 で、wikiで見たら、原作では弥生さんの子供が万里子という人で、その子供(弥生の孫)が由香利ってことらしい。原作通りだと由香利と小雪は孫同士。うり二つっていう設定により説得力が生まれる感じかな。 いや、余計わからなくなる笑 そうじゃなくてもややこしいのに笑 とりあえず、弥生が冬子を自分の子供だったと察するシーンが、個人的な今作のハイライト。 あの時、冬子が訪ねてきた時に家にいれば、由香利が応対しなければ、、冬子がどんな思いで訪ねてきたのか、あの風鈴を後生大事に持っていたのか、そして小雪に託したのか、、弥生の後悔と驚きに満ちた苦悩の表情が辛い、、 あと、忘れてならないのが宮坂すみさん笑 彼女が登場するシーンが、なんか無性に好き。 最初はなんかゾワゾワするけど、質問にはちゃんと受け答えするし、徐に布団を畳み出したりするし笑お住まいがあまりにも、、アレで、彼女の人生がどんなものだったのか想像させる手法が絶妙。だけどすみさんは自分の出自が低いから息子の拓也を慮って影に徹した人生だったんよね、、 今の時代には考えられないけど、戦後のこの時代ならではの無情を感じる人物。 今作の主演は金田一耕助役を演じた、もちろんこの方、石坂浩二。松嶋菜々子版の犬神家を一番最初に見たから個人的には一番しっくりくる金田一です。最後、乾板の中を見ないように目を逸らしながら石に叩き割る姿に、金田一の人柄が出てた。暴かれたくないものを強引に暴こうとしない姿勢が好き。金田一のパートナー的な存在、黙太郎役に草刈正雄。普通にカッコよき。彼もまた最初は興味本位だったかもしれないけど、最後はちゃんと小雪の悲しみに寄り添っていた素敵な役。悲しみの人、法眼弥生さんは佐久間良子。最期は自らの死で決着をつけた姿が、、冬子が待っていると呟くシーンが、、涙なしでは見られない。世代的に馴染みがほとんどない女優さんだけど、憂う姿までもが綺麗な方。由香利と小雪二役を演じたのが桜田淳子。いや、美人すぎやろ。勝気で名家のお嬢を体現してる由香利と、因果な運命を背負って生きる幸薄な小雪の演じ分けがすごい。個人的な好みの容姿は冬子を演じた萩尾みどり。幸薄な小雪に二乗したぐらい幸薄な人物だけど、それが良くも悪くも合ってるのがたちが悪いくらい素敵だった。(演者っていう意味でね)あと、等々力警部も良かった!重要証拠の乾板の中身を察したのか、「そんなもんあったかね?」みたいにわざと惚けるのが粋だね。演じるのは 加藤武。それ以上に粋だったのが原作者の横溝正史氏が奥様と一緒に出演してたこと。作品に対する愛が伝わるな、、こういう演出は。 正直、本当に世代的にあまり存じ上げない俳優さんばかりだったけど、映画の中に独特の雰囲気が漂っていて好き。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.09 11:12:54
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