「同級生を送って行って、まさか」

大学生の時の思い出だが

中学の時の同級生のＳ君が最寄駅から歩いて来て

「家までクルマに乗せて行ってくれ」

と言うので私の愛車に乗せて送って行く事にした。

すると最寄駅の踏切を渡った所で後ろから物凄いスピードで

ブルーバードが追い越しをして来た。

隣に乗っていたＳ君は

「抜かされるな！飛ばせ飛ばせ！」

と叫ぶが横に並んだブルーバードには白衣を着た男性が４人乗っていて

何かを頻りに叫んでいる。

何事かと思い私が愛車を道端に止めると

ブルーバードから降りてきた白衣の男性が

「ダメじゃないかＳ君！　抜け出して来ちゃあ！」

と言って２人掛かりでＳ君の両脇を抱える様に拘束した。

「俺は家に帰りたいんですよ～」

と叫んでＳ君は両腕を振りほどいて

道脇の畑の中を走って逃げて行った。

中学生の時、Ｓ君は陸上部で中距離ランナーの選手

短距離走の時と同じスピードで中距離を走ってしまう事から

付いた渾名が「フランケンシュタイン」

きっと、逃げきったんじゃないでしょうかね。

その事件から暫くしてＳ君が

以前から近くの医療センターに入院していた事を知りました。