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2006年12月03日
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テーマ:統一運動(71)
カテゴリ:第2章
 防御重視の平和的戦略へ大転換

 レーガン大統領はこの世論の新しい潮流に乗って、一九八三年三月二十三日、テレビ放送を通じて演説し、ハイ・フロンティア構想を「SDI(戦略防衛構想)」に衣替えしたうえで、正式にアメリカの国防政策として採択すると宣言した。
「強いアメリカ」を標榜して、就任以来、軍備拡張に努めてきたレーガン大統領にとって、SDI推進はソ連の対外侵略や膨張主義を抑え込むための切り札であった。と同時に、この宣言はアメリカの対ソ核戦略の大転換、すなわち報復の脅威に重点を置いた従来の相互確証破壊(MAD)戦略から防御重視の平和的戦略への大転換を意味するものであった。
 レーガン大統領の演説は、SDIは純粋な防御戦略なので、ソ連も望むなら同様の防衛構想を持てばよいと説く点で、道義的で名分のある宣言であった。「これは純粋防御兵器だから、われわれを信じられないなら、ソ連もこの防衛構想を実行せよ」と叫んだのである。なんと痛快な叫びであろうか。
 画期的なレーガン演説の骨子を紹介する。

 「ホワイトハウスの私の前任者たちは、ソ連の脅威を語り、それに対処する諸措置を提案してきた。だが、核兵器の登場以来、これらの諸措置は、報復を約束することによって侵略を抑止する方向を次第に志向してきた。『自分の方にも耐え難い損失を必ず招くような攻撃を進んで行うことは、理性的な国ならあり得ない』という発想からである。攻撃の脅しによるこのような安定へのアプローチは、効果を発揮してきた。
  われわれと同盟諸国は、三十年にわたり核戦争抑止に成功してきた。だが、最近数カ月、特に統合参謀本部を含む私の助言者たちは、安全のために攻撃的報復にのみ依存するような未来を打破する必要性を強調した。
  これらの討議の過程で、私は次第に強く次のことを確信するに至った。すなわち、(ソ連など)他の国々や人々に対処するに当たり、(報復攻撃によって)彼らの存在を脅かすこと以上の高い立場に、人間精神が立ち得るに違いないということである。……
  私は希望を与える未来のビジョンをあなたがたと共にしたい。すなわち、防衛的な措置により、恐るべきソ連ミサイルの脅威に対処する計画に着手することである。……今日まで、われわれの抑止戦略は、報復の脅しに基礎を置いてきた。自由陣営の人々は、ソ連の攻撃を抑止するのに、間髪を入れぬ米国の報復の脅しに依存してきた。だがそうではなく、ソ連の戦略弾道ミサイルがわれわれや同盟諸国の国土に到達する以前に、米国がこれを撃破でき、自由世界の人々が安全に生きることができるとすればどうだろうか」
 「核兵器をわれわれに与えた科学者たちに要望する。その偉大な才能を人類と世界平和のために振り向け、これらの核兵器を無力にし、旧式化させる手段を探り出してほしい
」(世界日報一九八三年四月十三日付邦訳掲載)

 またレーガン大統領は、後にSDIの道徳性を強調して次のように述べた。

 「核兵器で人を殺し合うより、それ自体が非核でありながらなおかつ人は殺さず、核兵器だけを破壊するそういう防衛兵器の方が人間的で、道徳的ではないのか。そういう兵器は研究に値しないだろうか」(朝日新聞一九八五年一月十日付夕刊)

 レーガン大統領は反対勢力から“軍拡主義者”と非難されたが、彼の叫びには道徳的な信念があったのだ。
 もしSDIが実現すれば、米国民はもはやソ連の先制核攻撃の恐怖に怯えなくてすむようになる。その上、報復攻撃でソ連の一般国民を殺傷する必要もなくなる。技術的に克服すべき障害は多いとしても、これは挑戦に値する壮大かつ偉大な計画であった。





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最終更新日  2006年12月07日 23時51分09秒
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