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2006年12月09日
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テーマ:統一運動(71)
カテゴリ:第2章
ゴルバチョフの米議会演説を阻止

 これまで見てきたように、ワシントン・タイムズは“言論界の革命児”として、歴史上のいかなる新聞や言論よりもアメリカの歴史、世界の歴史を変えてしまった。共産主義解放に寄与したSDI政策支援については既に詳述したが、その他にもワシントン・タイムズが変えてしまった歴史は多い。
 一九八五年三月、ソ連ではゴルバチョフ体制が出帆した。前に触れたように、ゴルバチョフ書記長は「米ソ共存政策」に打って出た人物である。だからと言って、彼が共産主義の野望を捨てたということではない。しかし、彼は西側に対して親和的な態度に出たために、彼の人気はアメリカで日増しに上昇していった。
 ゴルバチョフ書記長の最初のアメリカ訪問があった(一九八七年十二月)。ソ連の国家元首がアメリカを訪問するのは、国連で演説する場合を除けば、歴史になかったことである。ニクソン氏が副大統領のとき(アイゼンハワー大統領時代。一九五九年)、ソ連のフルシチョフ第一書記(兼首相)が訪米したことがある。だが、彼は友人として来たのではない。伯仲したイデオロギー対決の中での、ニクソン副大統領との「理念論争」は有名な話である。
 ゴルバチョフは最初から親善という名分を掲げてアメリカに来た。そこで米側では、彼を連邦議会の上下両院合同会議で演説させる計画を立て、ホワイトハウスも受け入れる用意があった。
 この計画に根本から反旗を翻したのが文鮮明先生である。文先生はそうでなくても緩んでいる米国民の反共意識が、さらに惰弱になることを恐れられた。また、米国民の代表が集まる神聖な民主主義の殿堂、米議会議事堂で、歴史上最大最悪のサタン(悪魔)を代表する共産主義宗主国ソ連の独裁者が、エリートたちの拍手喝采を受けるようになれば、これは神に対する冒涜となり、民主主義に対する背信行為であると見られた。
 ワシントン・タイムズはこの神聖な文先生の意思を雄弁に表現した。ゴルバチョフ書記長の議会演説の予定を取り消すべきだと食ってかかったのである。
 その論旨は極めて理路整然としていた。アメリカの議員たちは眠りから覚めた。
「神聖なる米議会を汚すな!」
 まず共和党の議員が立ち上がった。そして、その正当な意見は全国に波及した。
 ホワイトハウスはこの世論の波の前についに屈服し、ゴルバチョフの米国到着直前に、議会合同会議での演説スケジュールを取り消したのである。
 この出来事を通して、ワシントン・タイムズの威力はソ連全土に報道された。それ以来、ソ連の記者団とテレビ報道記者たちが、ワシントン・タイムズ社屋の前で毎日のように報道する姿が見られるようになった。
 ソ連の国営放送の特派員たちは、わが本社社屋の前に立って、
「ここはアメリカ合衆国の、かの悪名高きワシントン・タイムズ本社です」
 と切り出してニュースを報道する。
 共産国家で“悪名”が高いならば、それは彼らが最も恐れる自由の闘士だということである。





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最終更新日  2006年12月10日 23時55分24秒
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