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目が覚めて周囲を見回したら、すぐそこでオッサンがふらふら歩いててとてもびっくりした。
極力おじさんを見ないようにして荷物をまとめる。 起きる際、携帯のアラームをかけておいたが、目が覚めてからも起きるのが面倒だからぼーっとしてた。 風があいも変わらず強くて億劫になる。 行こうかいかまいか。 というのも、僕は前夜の夜間移動ですっかり神経が擦り減らされ、ナーバスになり、心も体も疲れ果てていた。 もう何もしたくない。家に帰りたい。そんな気持ちが僕の心に満ち満ちていた。 あぁーめんどくさい。やってらんねぇよぉー。ちゃらんぽららーん。 そんな気持ち。 いっそ雨でも降らないか。そう思いもしたが、風はやたらめったに強いくせして空は青く晴れてると来たものだ。 これでなにもしないで下山というのは、本当の愚か者がすることだろう。得るものが何もない。いや、なくもないか。前夜泊には気をつけろとね。 まぁ結論から言いますと、登ることに決めた。計画より遅めに起きたけども、時間はたっぷりあるしね。 朝ごはんをどうしようかと考えた。 全く食欲がわかない。これは疲れよりも精神的なものであると僕は思う。気分が常にソワソワしてて疑心暗鬼にかられる。神経質の極み状態である。あのオッサンは実は極悪人なのではないかと考え始める。L5ですな。 さて、朝ごはん。 ご飯を炊くか、ラーメンをつくるか。 ご飯は全く食べる気にならず、そもそも炊くのが面倒臭い。 ラーメンなら食べられそうだし、すぐ作れると思ったが、あいにく、箸を持ってくるのを忘れた。意欲が根こそぎなくなった。 別に空気にならないんだったら、今食わなくてもいいだろう。少し進んで食いたくなってきたら作って食べればいい。モノが一番おいしいと感じるのは腹が減った時だ。 と1人ボソボソと考え、朝食はとらず、グミを数粒口に含み出発することにした。 撤収出発。さっきのオジサンは僕が寝てるところのすぐそこの藪でごそごそ動き回ってた。怪しい。怪しすぎるぞオジサン。僕も人のことは言えないが。 オジサンは山菜をとっていただけらしい。 さて、出発。 実のところ、登山口は昨晩のうちに見つけたのだ。キャンプ場の入り口に看板があった。 独りのんびり行く。 しばらくはキャンプ場の敷地らしく、それらしい道が続く。さびれた散歩道。キャンプ場全体がさびれてるからしょうがない。 ようやくにして登山道が始まる。特に特筆すべきこともない。 特筆すべきは私の心にある。 一人で誰もいない山に登るのはそれはそれは孤独なものだ。寂しいとかつまらないとか暇とかそういうことではない。 山とはこんなにも危険で怖くて人の近づくべきところではないのだということに気づかされるのだ。集団でハイキングみたいに山登ってもそれを感じることはできない。単独であっても周囲に人がいては感じることは難しいだろう。 ただ一人、山中に立って初めて山の異様な空気と未知に対する恐怖に気づかされるのである。 木々のざわめき、動物の鳴き声、それをきれいだと思うのが本来の人間なのではない。本来、それはとてもとても危険に満ちた恐ろしい知覚。火をもってしまった人間には気づけぬ真実の姿。 古来、山は神(西洋では悪魔)の住むところであり、決して人が近づくべきところではないとする考えがあったが、これはたしかに的を得ている。 山など、人が近づくべきところではない。 ってーことはつまりどういうことかというと、僕は物音一つ一つにおっかなびっくりしながら歩を進めたのである。 「ガサガサ」 「ビクッ!!!」 てな具合だね。 大げさな表現じゃないし、馬鹿にされるものじゃない。いたって正常な・・・そう、自然なことだと思う。だって怖いんだもの。 怖いものを怖いと認めないのは、危険を危険と感知することができないバカ者である。 なんかもうね・・・怖い怖い連呼してるだけで申し訳ない。だって本当に怖いんだもの。 臆病だと笑いたければ笑えばいいじゃないか。別に怖がりなことについて言い訳はしない。 さてさて、話を本筋を戻す。 精神疲労が蓄積、取り乱してるといっても過言ではない。もう僕の登山のペースは乱れまくりである。 ひたすら早く登る。ダーッと。そして突然疲れを感じて休む。休んだら立ち上がりたくない。だがいつまでもそうするわけにもいかず、勇気を振り絞り立ちあがる。ペースが乱れてると自分で分かっていながらも、ペースを落ち着けさせることもできず、むしろ本来のペースがどのくらいであったかもよく分からない。 とにかくがむしゃらに進んだ。 がむしゃらであると同時に、これを学びの機会と考える冷静な自分もいた。 周囲の地形をじっくりと観察し、地形図を丹念に読み込む。実際のところ、似たような尾根が左右に連続して連なっており、自分が今どの尾根との分岐地点にいるのかは判断しかねたが、少なくとも、要所において地形図と周囲の地形が一致している程度のことは分かった。こういうのを繰り返して、読図力が身に着くのであろう。 言い忘れていたが、登山靴は履いていない。ただの使い古したニューバのスニーカー。そして登山靴はザックに入り、2キログラムの重りになり下がっている。 それはなぜか?bekause靴下を忘れたから。 ためしに少しはいてみたが、足首がすぐにもかぶれてしまいそうだからやめた。 どれくらい歩いたか分からないが、いや、一応記録はとってあるから調べれば分かるが、記録を確認しないと分からないので分からないのだが、結局のところどれくらい歩いたか分からないのだが、見晴らしのいい岩場に到着した。 地形図で見るに、あとひとつのピークを越えたら山頂に着く。そんな位置。 だが、展望は非常に良い。岩の上に一人立ち四方を見渡す。新潟市街から角田山、弥彦山、遠くに米山、さらに遠くに見えるはなんの山か、頸城三山?わからん。海を見ると粟島に佐渡が見渡せる。佐渡に至っては大佐渡と小佐渡の別がつくほどにくっきりとうつっていた。今日の強い風が、空気中の余分なものを取り払ってくれたのか。何にしろ、景観が良いことは幸いなことだ。 そこからもうすぐであっさりと山頂についた。 さっきのピークもそうだが、風つええー! 岩陰に隠れないとやってられぬ。 山頂につく喜びはそんなにない。お疲れ様でした的なね。やったら冷めてるのね、僕。 でね、僕気づいたんですよ(^^) さっきからやったらとハイドレーションの水の通りが悪いなぁって(笑) そしてね、思いだしてきたんですよ(^^) そういえば、朝来る時に水汲んでなかったなって(^^) 水の残量確認(^^) 500cc切ってる(^^;) (笑) 下山することが一瞬で決まった。この先、水場ないしね。文句ない理由である。干からびたらシャレにならん。脱水なんてね。 自分に責任をもってこその正しい判断力。 いろいろ真っ当なこと言ってるが、水の汲み忘れなど大バカ者である。 馬鹿である。そう、ばか。ほんとうにばか。もうっねえー、バカ!!!もう、バカバカ!バーカ!!バカバカ!!カバ。 下りの道を行く私。 下山路は、昨年冬に通った草水登山道。 下山中にようやく人間と出会う。 突然の遭遇に僕は非常にビビる。 「ッッッぅおおうぅ!!!こんにちわ~♪」 開けた場所で風のない場所に出る。下山が決まり、人間とも出会い、知ってる道ということもあり、だいぶ落ち着きを取り戻してきた。すると腹が減ってきた。 ラーメンを食べることにする。 箸はそこらへんに落ちてた枯れ枝で代用。 めるしー。 かくことないので飛ばす。 下山。 登山口にあるドライブスルーにあったベンチで、ジュースを飲みつつしばらく休む。風が心地よく感じる。 あぁ、なんとさわやかな。 そして前夜から続いた緊張の糸はようやくにしてほどけるのであった。 後記。 反省点1・・・水!!忘れるな馬鹿!! 反省点2・・・細引きあって切るものなけりゃどうにもならないことに気づいた。 反省点3・・・もう夜に人気のない道歩かない。近場で野宿して朝早起きして移動する。朝の移動の方が精神的にも体力的にも負担が少ない。道迷いもないし。 反省点4・・・地形図は最新のものを用意。ルート書いてないとかぶっちゃけありえん。僕にそんな力はない。 反省点5・・・箸を忘れた結果、朝食を抜き、朝食を抜いた結果、水に気づかず。連ねると橋を忘れたから下山が早まった。些細なことが万事につながる。靴下忘れ→登山靴なし→足捻挫→遭難とかも大げさな話ではない。 反省点6・・・もっとメジャーな山に登ろうと思う。山で単独行と山で孤独は全く違う意味である。 反省点7・・・もうちょっと精神的にタフになろうか。あんまりだ。 反省点8・・・事前準備はしたつもりだが実際は足りなかったといえる。ぬかりなきよう。 反省点9・・・軽登山靴、50Lくらいのザックが欲しい。快適性の向上。今の35ザックは、絶妙なサイズでとってもお気に入りなんだけども、おさまりきらないところがあるのも事実。 反省点10・・・悔いが残る山行であった。 以上。宝珠山単独行のご報告。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.06.11 03:35:03
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