とはずがたり

　　　　　　　　

 埼玉県立近代美術館に

「丸木スマ展－樹・花・生きものを謳う－」

を見に行ってきました。

 

目にするすべての絵が心にす～っと素直にはいってきます。

「いいなぁ…」と、　自然と口から出てきます。

子供達も立派に独立し、することがなくなった

スマおばあちゃんは、絵を描くようになったのです。

画家である息子さんにすすめられたこともあり…

まるで、小さな子が描いたように

色も構図も自由で楽しくて、思わず顔が緩んでしまう…

「見にきてよかったなぁ～」

と、思いました。

「これは、図録を買おう」

そう思って、最後に掲げてあったスマさんの年表を

さ～っと見たときです。

「殺害」という文字が目に飛び込んできました。

 どきり　としました。

それまでの、心和む絵とあまりにかけ離れたその言葉…

「８１歳　　自宅にて顔見知りの青年に殺害される

…犯人の青年は入水自殺」

あまりにショックで、図録が買えませんでした。

７４歳で絵を描き始め、

「生きていたくなった～」と喜びを見出したのに…

「マチスは私の絵に似ているね」なんて言っていたのに…

グランマ・モーゼスやターシャおばあちゃんみたいに

天寿を全うしたのだと思っていたのに…。

これってどういうことなのでしょうか？

それも、あまりに残虐な殺され方を…

かわいそうです、悲しいです。

私の心中がやりきれなさで、いっぱいになりました。

 

年表を見る前、

 涼しい美術館の中から、外の暑い風景を撮ってみました。

 　　　　　　　　　

土曜日の午後なのに空いていて、ひとりで行った美術館は

私に新しい酸素をくれたみたいでした。

 

それから、ショックを受けた後

どう階段を降りてきたかおぼえていません。

 

一階の窓の外を見ると見慣れないものが…

こんなカラス、前からいたかな～

　　　　　　

　　　羽の形など、なにか惹かれるものがありました…