昨日、NHKテレビ「日曜美術館」の『いわさきちひろの世界』
を観て、現在、東京ステーションギャラリーでやっている
「いわさきちひろ、絵描きです」展に行きたくなりました。
娘に話したら行きたいと言うので
さっそく今日一緒に行ってきました。
東京ステーションギャラリーがある丸の内北口の天井・・・美しい・・・
40年も前ですが、東京丸の内の銀行に勤めていましたから
懐かしい場所なのですが、やっぱりずいぶん違ってました。
いわさきちひろさんの絵・・・
実は以前からそれほど心惹かれる事はなかったのです。
でも昨日の日曜美術館を見て、ちひろさんて実はかなり苛酷な
人生経験をしてらっしゃった方なのだとわかり
絵を描くことに、いろいろな変遷がある事を知り、
興味をもったのでした。
彼女はかなり裕福でインテリジェンスな家庭に育ち
その絵の才能は早くから現れていたのですが
親から無理やり見合い結婚させられ、夫の転勤先である満州に
行き、愛のない結婚生活に暗い日々を送るのですが、ついには
夫が精神を病み自死してしまうのでした。
いったんは日本帰るのですが
戦時中ふたたび、女子開拓団に同行して満州に行きます。
その時は満州で働く男の人達に嫁いでいったお嫁さん集団に
書道を教えるという目的だったのですが、戦争が悪化し
食料もなく劣悪な環境の中、彼女は心身を病み、帰国するのでした。
その時の彼女は
「弟子を見捨ててしまった」という自責の念にかられたようでした。
日本に帰ってから、暗い過去を払拭するかのように絵に没頭していくのですが
始めは油絵を描いていたのですね。
それは、あのふわっとした美しい水彩画とは違う
暗い色で野太く描かれたもので、びっくりしました。
それと初めて知りましたが、彼女は左利きで
左で絵を描き、右手で字を書いていました。
それに洋裁も得意のようで自分で作ったワンピースも展示されていました。
そしてこの展覧会の名前
「いわさきちひろ、絵描きです」は
2番目の夫と会ったときの自己紹介のことばからきています。
「私は挿絵画家ではない、絵描きなんです」という
彼女の強い意志が表れているようです。
この展覧会を見るまでは、
「いわさきちひろね~」と軽~いきもちで
彼女が描く子供の顔が、好きでなかったのですが
とっても深い人生を知ったらなんだか違って見えてきました。
この子のスイカの種みたいな目・・・
なにかを語り掛けているようでこの表情がとっても好きです。
人魚姫が天に昇っていくところと王子様を思っているところ・・・
戦火の子供の顔・・・必死に子供を守る母親の厳しい表情
抱かれる子供のあどけない・・・でも何かを感じている目・・・
こういう表情も描ける方だったのです!
黒柳徹子さんの「窓際のとっとちゃん」の挿絵は
ちひろさんが55歳で亡くなったあと、息子さんが
選んで下さったものなんですってね。
あまりに文章にぴったりなので驚きます。
今日は「絵描き」のいわさきちひろを堪能することができました。
今まで先入観で見てしまっていて、本当にごめんなさい。