三位の伝先週は「自分の思惑だけで相場をやってはいけない」と言う話をしました。逆にいえば相場をやる時は相場の雰囲気や、回りの環境、また、「皆が、この 相場をどう思っているか」も大事になってきます。そういったことを見極める ことが「三位の伝」というのだと思います。今回はこの「三位の伝」について すこし書いて見たいと思います。 この商い三位の伝を以って、一体の上げ下げを見極め、二つの内、何程の下 げ、何程まで上げ、何程にて止まる、その節、上方此の方作合いを考え、終始 如何と丹念致し、たとえば買いにつく時は、その間の狂い高下に構いなく、立 ち羽を崩さずしっかりとすべきなり。思い入れ当たる時は、勘定の通り取り留 まるものなり。安きところにて買い、高き処にて売るべしと心掛けては、宜し からず。上げと見込む時は、全体を考え、片買いと心得べし。若し、又了見違 う時は、早速売り返し休み、とくと米の動きを見るべし。その節、米弱みに見 ゆる故、売り過すことあり、はなはだ宜しからず。ぜひ下ぐべしと存じても売 らざるものなり。心得べし。 「三位の伝を以って、上げ相場か下げ相場を見極めて、下げ相場の場合はど のくらい下げるのが、上げ相場の場合はどのくらい上げるのか、また、どの当 たりで止まるのかそのときの地合いをよく考え、最後までしっかりと研究して 例えば買いに出るときはその間の多少の高下、「綾」は無視するように自分の 立場をはっきりとさせておくべきです。思惑が当たる時は自分が予想したよう にしっかりと儲けることが出来るものです。いつもいつも安いところで買い、 高いところで売ろうと思っているだけではだめなのです。上がると見込んだと きは相場全体の動きを考えて買い一辺倒で行くべきです。もし見込みがはずれ た時はすぐに反対売買をして休み、相場の動きを冷静に分析してみるのです。 その時(自分が投げたということで)相場や弱く見え、売り過ぎることがあり ますが、とんでもないことなので注意が必要です。必ず下がるだろうとわかっ てはいても売らないくらいの心持でいた方がいいのです。よくこころに止めて おくべきです。」 「三位の伝」などを良く勘案して相場の見通しを立て、そのような投資をし たのであれば目先にばたばたすることもなくしっかりと相場の方向だけを見て いればいいのです。今日の安いところを買おう、とか明日の高いところを売ろ う、などと考えていると目先的な株価の上下に惑わされて相場全体の方向を見 誤る可能性もあります。「~までは」買いと期間や株価を定めるのもいかもし れません。目先の1円や2円にこだわらずに方向があっていれば相場というのは 儲かるもので、方向を見誤らないことが大切なのです。 「三位の伝」について 『相場三昧伝』の中に「三位の伝」という言葉が良く登場します。「売り」 「買い」「休む」を「三位の伝」という考えもありますが、ここでいう「三位 の伝」というのは「旗=相場の位置、状況」「風=相場の環境(金利や為替の 動向、米相場の場合は天候など)」「心=人気、市場のセンチメント」の3つ の事象を勘案して相場に取り組む、ということです。相場を取り巻く環境を考 え、その株価の動きを考え、そういった株価の動きを見て、市場参加者がどの ように考えているかを考えることが大切、ということです。 そのためには相場の向き合う方針を「売り」「買い」「休む」のどれにする か、ということ重要にまります。 また、この書の中で「二つ仕舞い、三つ十分、四つ転じ、三位の秘伝なり」 と述べているところもあり、この売買の仕方を「三位の伝」と言う説もありま す。この中の「二つ仕舞い」とは「一」が仕掛け(「売り」「買い」)だとし たらその反対売買のことで、「三つ十分」というのは「休む」の部分で「十分 に相場を分析する」と言う意味で、「四つ転じ」というのはそれまでと反対の ポジションを取る(つまり「一」の仕掛けになります)ことではないかと思い ます。 相場はまず、買ったとしたら、それを手仕舞い、そしてその後売り買いの様 子を見て、逆に売ることもあると思います。このサイクルを良く見極めること が「三位の秘伝」というのではないかということです。ここでいっていること は当たり前のことですが、仕掛けも手仕舞いも様子見もかなり神経を使って見 る必要があるのではないかと思います。そういった意味で、それぞれを相場環 境や人気、相場の位置を勘案して「仕掛ける」必要があり、また、そういった ことを勘案して相場に望む、という意味で「三位の伝」といっているのです。 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|