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ヨーロッパ、ドイツワインについてのいろんなこと

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JUMI

JUMI

2013.03.04
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日曜の午後に東京ドイツワイン協会(非営利の愛好家のための団体)の例会としてセミナーがありました。
今回は僕が講師を務めさせていただきました。まあ講師といっても上から話すのではなくワインのセレクトで半分以上役目を終えているようにはしたのですが。

何をテーマにするかと考えた時に、僕だからこそ、そして僕じゃないとやらないテーマ、ということでファインヘルプを選びました。僕が好きな味わいで、日本人の多くの人に受け入れられると思うので知ってもらいたい味わいであり、けれどもどういうものかまだ日本ではあまり理解されていない、ということで「ファインヘルプの魅力を深める」というお題にしました。

20人が集まってくださり、1種類につき2本ずつで8種類のワインを用意しました。
会場で使わせていただいたOAG内にあるノイエスはオーストリアで修業した人によるパンと菓子のお店なので、パンとケーキを用意していただきました。
甘口でないワインとケーキという事で疑問に思う方もいると思いますが、この事については最後に書きたいと思っています。


それではこの会の様子を書きつつ、これを読んでいる方にもファインヘルプがどういうものなのかということが伝わるようにまとめていきます。 

この記事はファインヘルプが何なのかと検索した時にトップページに出てきて参考になるようなものにしたい思っています。
2年前に僕がドイツワインの新しい表記についてのセミナーをやった時のをまとめたものは「ファインへルプ」でググるとトップに表示されるので同様にしたいのです。


まずはワインを飲み始める前にファインヘルプとは何なのかということをざっと説明していきました。以下を記したプリントを配って説明しました。斜字は口頭で補足したものです。

feinhelb ファインヘルプの説明

英語だとオフドライに相当。中辛口、中甘口の味わい。日本語の表記では半辛口とも表記される。
feinは英語同様の意味に加え上品や繊細という意味合いもある。herbはホロ苦いなどいう使い方をするが、feinherbとつなげた場合は上品な辛口、繊細な辛口などというニュアンスになる。

残糖量はワイン法で規定されていないが、一般的には9g/l以上からlieblich(甘口)までの間の45g/l未満とされている。実際には9g/lから25g/l前後のファインヘルプが多い。

25g/lくらいのファインヘルプではなくlieblichとされるQbAはたくさんあるし45g/l前後の甘口カビネットもあるという補足

ワイン法で定められている規定
trocken トロッケン 9g/l以下(総酸が残糖数値マイナス2g/l以上の場合) 
4g/l以下 (それ以外)

halbtrockenハルプトロッケン 9g/lを超え18g/l以下 (総酸量プラス10が18を下回ること) 12g/l未満 (それ以外)


酸の量による残糖量多めの設定は主に酸が多くなるリースリング種のためのドイツならではの設定であり、他の品種では低い残糖量の設定となる(トロッケンはその数値はEUの規定数値)。また、今回はリースリングの試飲しかないがジルヴァーナ―やシュペートブルグンダーのロゼなど他の品種でもファインへルプは存在する。
ファインヘルプには先にも書いたように数値の規定がないということが重要。それにより自由な造りをすることができる特に酸量による制限がないということは大きな意味を持つ。

この幅広さは味わいが絞れなくて買う時に困るという問題もあるのだが。


上記の規定の制限がないという事に加えて
ハルプトロッケンの半分辛口という言い回しが中途半端でどっちつかずなイメージのためあまり受け入れられなかったので別の表現の仕方としてファインヘルプが生まれる。

その使用はモーゼルのケッセルシュタット醸造所が裁判でワイン法に違反しないという判決を2002年に勝ち取ったことから一般に広がった。

ハルプトロッケンの残糖規定内であっても好んでファインヘルプを使う醸造所も現在は多い。

表示義務はないのでファインヘルプに相当する味わいであってもワインラベルに明記されていない場合もあるが、キャップシールの色などで(トロッケン、ファインヘルプ、甘口を)分けていたり独自の基準をラベルに記しているという醸造所もある
甘口なのかファインヘルプなのか表記がなくて判別できない場合、アルコール度数を目安にするとよい。12パーセント以上なら甘口ではない場合が多い、あくまで目安だが。

>


というようにファインヘルプのことを頭で理解してもらってから実際にファインヘルプの世界にふれていきました。


1
  キューリング・ギロー Kuhling-Gillot (Rheinhessen)   京橋ワイン(輸入元)
 "Qvinterra" trocken 2010    糖度:7.2 g/l  酸度:8.4g/l

2  キューリング・ギロー Kuhling-Gillot (Rheinhessen)    京橋ワイン "Qvinterra" feinherb 2010   糖度:14.5 g/l  酸度:8.3g/l

3  プリンツ Prinz (Rheingau)   稲葉
"vom bunten Schiefer"  feinherb 2010  残糖:10.9g/l  酸度:9.1g/l

4  ファン フォルクセン Van Volxem (Saar/Mosel)   ラシーヌ
"Schiefer" 2011  残糖:7.0g/l

5  カール エルベス Karl Erbes (Mosel)   稲葉 
Ürziger Würzgarten  feinherb 2011  残糖:21.0g/l  酸度:7.2g/l

6  アダム A.J.Adam (Mosel)   ラシーヌ
Dhroner Hofberg  feinherb 2011

7  ヘイマン・ルーヴェンシュタイン Heymann-Löwenstein (Mosel)  ザ・ヴァイン Winninger Uhlen "Laubach" 2007    

8  エムリッヒ・シェーンレバー Emrich-Schönleber (Nahe)   稲葉
Monzinger Frühlingsplätzchen   Kabinett 2005

 

僕はふだんは数値があるとそれにとらわれてしまって直感の判断がにぶってしまうので残糖などの数値は知らないようにしてワインを飲むのですが、今回は数値上での違いもわかるとより深く体感できるということで載せてみました。わかる範囲だけにしましたが、前半で特に違いを感じてほしかったのでこれだけの数値で充分効果はありました。

もう一枚分プリントを作ったのですが、それには気にして飲んでいってほしい、つかみとってほしいポイントを書いていきました。


トロッケンとの違いは?

産地ごとに違いはあるのか?

ファインヘルプの味わい(甘み)の幅の広さ

質(価格)による違い

野生酵母など人の手をなるべく介入させない造り方とファインヘルプの関係性

数値で区別するのはナンセンス、という考え

残糖を気にしないで最高のワインを造りあげようとしている醸造所の意図と志

甘口は熟成して甘みが抜けてくるとファインヘルプに近い味わいに。共通点と相違点は?
 

以上8点を間をあけて記したプリントです。
このポイントについては僕ががっつりと解説するというよりは各々が感じてほしいということを話しました。

このポイントとワインリストを見れば、僕がどのようなことを伝えたいのかということがドイツワインをよく飲んでいる方にはわかるのではないかと思います。
そういう方にとってはここまででもう十分なのですが、そうでない人にも知ってほしいので次回はワインの感想を書きつつさらにファインヘルプのことを書いていきます。






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最終更新日  2013.03.05 02:05:17
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