週末に僕が企画したワイン会をやりました。昨年9月にドイツに行った時に醸造所で購入したワインが中心です。こういう大人数を集めた会を想定して多くの人に飲んでほしいと思ったものは複数本購入していました。11月にはファインヘルプと甘口のワインを中心に会を開きましたがその第二弾です(前回の様子前編、後編)。
今回はリースリングの辛口を中心に組みまして、ワインを試飲するだけではなく食事とあわせるとワインの魅力がよりわかると思いドイツを中心としたヨーロッパ料理の永田町のビッテさんでやらせていだきました。
ワインの感想と料理について少し書いていきます。

Querbach クヴェアバッハ (Rheingau)
Östricher Lenchen "No.1" trocken 2006
Östricher Doosberg trocken 2008
Markus Molitor マルクス・モリトール (Mosel)
Graacher Domprobst Spätlese trocken 2011
Graacher Himmelreich Spätlese feinherb 2011
von Winning フォン・ヴィニング (Pfalz)
Deidesheimer Langenmorgen Grosses Gewächs trocken 2011
Karl Erbes カール・エルベス (Mosel)
Ürziger Würzgarten Auslese* 2010
Georg Breuer ゲオルク・ブロイヤー (Rheingau)
Auslese 2008
写真の順番でリストを書きましたが提供した順番は異なります。ぶどう品種は全てリースリングです。
Doosbergとアウスレーゼ2種は一本ずつの提供で他は2本ずつ用意したので比較をしたり提供した時の料理以外ともあわせられるようにしました。
1本目は僕が今ラインガウで最も気になっている醸造所クヴェアバッハのレンヒェンの畑からのトップキュヴェです。どういう醸造所か知りたい方はクヴェアバッハ醸造所を訪れた時のことをごらんください。
うすめだけどジューシーでレモン汁のようなニュアンスがじわっとやってきます。もっと若いとそのかんいが際立ってしまってバランスが悪いような気がして、じわっとくるけれど酸を直接強く感じるわけではないので年月が経過してとてもよいバランスになってきていると感じました。

このワインはフレッシュな食べ物とあうと醸造所で試飲した時に思ったので最初に持ってきて、盛合わせの中には野菜とニシンの酢漬けを入れてもらいました。
魚にあうと思っていたのですが酢漬けの酸っぱさとはちょっとあわなかったです。野菜とは相性がよかったですが、フレンチドレッシングとかよりもまったりとしたドレッシングや味付けのほうがこのワインにはあうと思いました。酸が強めのワインと食べ物でも、すっぱさの質が違えばあうと思うのですが、このワインだと似たような系統の食べ物だとあわないのです。
2本目はモリトールのトロッケンです。モリトールの2種類とも醸造所の新酒試飲会で気にいって購入したものです(マルクス・モリトールを訪れた時のこと)。
一言でいえばうすウマ系でした。ガツンとこないけれど丸みを帯びた中にうまみが詰まっています。モーゼルのトロッケンぽくないやわらかさがあります。2011年産だから酸が少なくてそういう味わい、と片付けてしまうのではなく土壌からのミネラル感などのさまざまな要素と熟したぶどうからの果汁による部分も加味して考えたほうがよいと思います。
VDPモーゼルの新酒試飲会の記事の時にも書きましたが2011年産のグラーヒのトロッケンとファインヘルプは僕が好みなのですが、おだやかな酸とこの土地の土壌による複雑みが2011年産はうまくマッチしたのだと考えています。ベルンカステルやヴェーレンの2011年の辛口系はあまりパッとしなくてこの土地だけバランスがよいと僕は感じています。
次はクヴェアバッハのドーズベルクの畑からのトップキュベです。前年まではエアステス・ゲヴェックスとしてリリースされていたものです。
レンヒェンのより骨格がしっかりしていました。複雑さをより感じるのと重心が低目なのは土壌の要素によるものだと思います。どういう性質の土壌でどう違うかは今ははっきりと述べられません。すみません。
土壌の性質により味わいが軽めのレンヒェンのほうが僕は好きなのですが、ドーズベルクのほうが価格は高く格上となっていることはそれ相応だとこの2つのワインを飲むと思います。
今の開き方が心地よくて飲みごろではないかという声が何人かから上がっていました。
このワインは生粋のドイツワイン好きでない方のほうが好印象をもたれていたのも興味深かったです。
4本目は評価急上昇中で僕も2010年に訪れた時に気に入った、名門が集まるファルツワイン街道のダイデスハイムの醸造所フォン・ヴィニングです(フォン・ヴィニングを訪れた時のこと)。
今回使用したワインはGGの試飲会で気に入ったものでその後にワインショップで購入しました。ファルツの中でも醸造所のくくりではフォン・ヴィンニングが一番好印象でした。6種類出ていてほどんどが好印象だったのですが、今飲んでも魅力がわかってもらえると思ったのがLangenmorgenの畑からのGGでした。
ボリュームがあって横に広がるかんじが、今までのもっと北の地域のクリーンな味わいの3本とあきらかに味わいが異なっていたので参加者にもその違いを感じてもらえてよかったです。華やかに開くかんじではないけれど、ふくよかでそれでいてどっしりとしていたのでファルツのグローセス・ケヴェックス(辛口の最上級クラス)がどういったものなのかをなんとなく理解していただけたかと思います。典型的でなおかつ質は平均より上で見本には適してこれを選んでよかったです。
また、おそらくこのワインはあと数年経過しても劇的な変化は起きないと思うので充分おいしい今の味筋であるこの数年に飲んでしまって大丈夫だと思いました。
5本目はトロッケンではなく中甘口のファインヘルプです(ファインヘルプについては前の記事でみっちり書いています)。モリトールのトロッケンと同じグラーヒの村ですが畑が異なりこちらはヒンメルライヒです。
完熟したぶどうからであろうジューシーな甘みが心地よく、やわらかい味わいのファインヘルプです。ファインヘルプの中では甘みを強く感じるほうだと思いますが凝縮感がありバランスが保たれているので甘みを邪魔だとは感じません。
前菜盛り合わせのあとは、季節が到来した白アスパラのボイルしたものがカットされて入っているクリームスープ、その後はソーセージの盛り合わせでした。
このスープは比較的どのリースリングともあうとは思いますが、やさしい味のこのス―プには特にとがっていないモリトールのトロッケンとの相性がばっちりでした。
ソーセージもあわないものを探す方が早いのですがGGとも悪くないです。
今回の料理とだけでの感想ですがクヴェアバッハのドーズベルクは比較的万能だという印象をうけました。

メインにはハンガリーのマルガリッツァ豚のグリルを出していただきました。おそらく2種類の部位がありました。僕が指定したわけではないのですがこの品を出していただいたオーナーシェフの日見さんには感謝しています。
イベリコ豚と同系統みたいですが、少し異なるのはわかりました。肉本来のうまみを食べているかんじで、嚙んで味が伝わってくるし満足感という意味での食べごたえを食べていて感じます。
これにはGGよりもファインヘルプのほうが合いました。肉のうまみとワインの甘みがちょうどよく合ったのでしょう。
食事とGGとの相性を試してみてGGは食事にあわせにくいと参加者が言っていて、今までもそのことは僕のまわりでも何度か話題にのぼったことがあります。GGはワインだけで完成されていて質がよければよいほど孤高の存在になって他を受け付けなるようなものが多い、という印象を持っています。今回出したのは比較的地味なタイプではありますがそれでも食事とあわせるのは難しいのです。熟成して酸がおだやかになってまろやかな味わいになってくるとあわせやすくなるGGもあるとは思うのですが。
カビネット・トロッケンのクラスのほう比較的万能で気楽な食事の時には適しているのかもしれません。今回のGG以外の辛口もワイン単体で味わうなら申し分ないけれど、抜群に相性のよい料理を探すのにはなかなか難しいタイプだと思いました。ワインが主役の食事の席であれば今回のようにある程度あいそうだという想定はできるのですが、食事をひきたてるのであれば、グーツよりは上でトップよりは下のカビネットクラス(等級をつけていない醸造所ではラインナップの価格帯の中の真ん中よりやや下のあたり)を選ぶほうがよいのかなと思いました。
長くなってしまったのでアウスレーゼの感想と総括は次回に書きます。