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ヨーロッパ、ドイツワインについてのいろんなこと

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JUMI

JUMI

2014.10.31
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多くの方に読んでいただきたいので、ヴァインベルクのショップブログに書いたものをコピーしました。


ドイツで代表するぶどう品種といえば白ワインではリースリングRiesling、赤ワインではピノ・ノワールPino Noir(ドイツではシュペートブルグンダーSpätburgunderと呼ばれています)です。
この2種は13地域のうちのほとんどの地域で栽培されていて、辛口の最上級の格付けグローセスゲヴェックスではどの地域でも必ずどちらかの品種は認定されています。試飲会ではそれぞれの醸造所の高価格帯のクラスにはこれらの品種が必ずといっていいほど並んでいます。
ただし、栽培面積と生産量でどの地域もこの2種がトップというわけではありません。数少ないながらも、高品質なワインとしてリリースしているのはこの2種という場合もあります。
テロワールに適していて収量を減らし高品質なワインを目指せば理想のワインに仕上げられるから、という理由が大きいと思いますが、ドイツといえばこの2種が代表格でありマーケティングの側面でこの2種を押し出しているということもあると思います。

しかしバーデンやファルツなどではピノ・ブランPino Blanc(ドイツではヴァイスブルグンダーWeissburgunder)の辛口白ワインはテーブルワインから上のクラスのワインまで素晴らしい品質のワインがたくさんあります。ピノ・グリ(グラブルンダー)もよく見かけます。フランケンのジルヴァーナーやビュルテンベルクのレンベルガーなどその地域独特の品種でも幅広い価格帯で造られているものもあります。
実際、各地で試飲会や醸造所で試飲をするとリースリングとシュペートブルンダーよりこれらの品種のほうがおいしいと思うことが多々あります。食事と合わせるならグローセス・ゲヴェックスのリースリングでないほうが、と思うこともよくあります。また、高価格帯のリースリングやシュペートブルグンダーはある程度寝かせないと飲み頃にならないような造りの場合も多く、他の品種のほうが若いうちからおいしく飲めるものが多いような気がします。

実はこの話題ではリースリング以外の品種があるというこの部分で留めるのではなく、この先が本題です。

9月のドイツ滞在では、南の地域のファルツとビュルテンベルクでの試飲会と醸造所訪問では、ドイツらしいと言われている上記の品種以外にも色々な品種を試飲しました。
白の品種では、シャルドネやソーヴィニヨンブラン、赤の品種ではメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを数多くみかけました。その中でもファルツのシャルドネ、ヴュルテンベルクのメルローはとても良いと思ったものが複数ありました。
これらの品種が造りやすくなったのは温暖化の影響が大きいと思います。20年前ではおそらくこれらの品種では良いワインはできなったのではないかと思います。しかし近年は作りやすくなっていて、そしててこれらの品種が気候や土壌に適しているのに気がついてきているのだと思います。特にビュルテンベルクのメルローは冷涼な産地での特徴もありとてもバランスの良いワインになっていると思いました。
そしてマーケティングとしても、フランスワインでよく知られている品種は売りやすいということでこれらの品種をプッシュしている生産者もいると思いますし、この流れはこれからもっと広がると思います。

ただし、温暖化で作りやすくなったとはいえ、他の国と似ているような味わいのワインではなく、ドイツらしさも感じられるのが面白いところで、テロワールとドイツ人の個性を感じられるワインが多いのが特徴です。それはその醸造所の中、高価格帯のこれらの品種のワインから感じることができます。
樽を利かせたものもありますし、ドイツのテロワールを生かしたスタイリッシュなワインもあり、僕は後者の方が好みではありますが。

温暖化の影響は今までに植えられていた定番の品種にももちろん影響があります。リースリングではアルコール度数が高くボリューム感のある辛口ワインが増えていますし、ヴァイスブルグンダーは南の地域だけでなくラインガウやモーゼルでも見かけるようになってきました。
温暖化の影響は良い部分と悪い部分の両方がありますが、善し悪しを決めつけるのではなく、現状を理解しその状況を受け入れることが楽しみ方だと僕は思います。その中で見えてくることを感じるのもワインの楽しみ方のひとつだと僕は思います。


僕がやっているヴァインベルクでは現在はモーゼルのワインを多く輸入しています。この地域だけでも幅広い味わいのワインを取りそろえることができるので多くの地域か揃えるという考えには至りませんでした。モーゼルだけでもドイツの多様性を知っていただけると考えたからです。アイフェルのヴァイスブルグンダーやファルケンシュタインのシュペートブルグンダーを飲んでいただいた方にはそのことがわかっていただけたかと思います。モーゼルで幅広く味わえるようになったのも温暖化の影響があるでしょう。

ただ、温暖化といっても畑の地質や斜度などは変わらないので、地域ごとの個性は変わりません。南のものと同じ合味わいを求めるのではなく、やはりその地域の味わいというものも感じられますのでそういう部分も受け入れてもらえればと思います。
とはいえ、美味しいワインを飲んで楽しみたいという方はそこまで気にせずに幅広い味わいとして楽しむことができるので細かいことは気にしないでよいと思います。


CIMG5324.JPG

モーゼルのトリッテンハイム村です。有名なのは村の反対岸の急斜面の畑アポテーケですが、村側の奥にもアルテーヒェンという畑が広がっています。ほとんどはフラットなのですうが、画像のように斜面にも畑があります。
取り扱っているアイフェルのヴァイスブルグンダーはこの斜面に植えられています。
そしてこの畑もリースリングの代表的な土壌であるシーファー(スレート粘板岩)土壌です。斜面でシーファーのピノ・ブランのワインを造っているところは全世界の中でも数少ないと思います。やわらかい味わいで、モーゼルらしさと他の国のワインが好まれる広がりもあり多くの方に評判の良いワインです(今現在で在庫が残り5本しかありません)。
このように、品種だけを見つめるのではなく地域の特性もあわせて感じてみるとワインの楽しみ方が幅広くなると思います。

色々と書きましたが、ドイツでは20年前より多様な楽しみ方ができるようになったということです。






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最終更新日  2014.11.01 00:22:55
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