地域ふれあいコンサートVol.69 松本蘭ヴァイオリン・コンサート
開催日:2022.1.23(土) 14:00開演場所 :上野が丘公民館 大ホールサントミューゼのアーティスト・イン・レジデンス 地域ふれあいコンサートVol.69 松本蘭ヴァイオリン・コンサートへ行ってきました。プログラム1.エルガー/愛の挨拶2.武満徹/波の盆3.ビートルズメドレー「Here,There and everywhere」「Michelle」「Hey Jude」「Yesterday」4.サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン5.プッチーニ/オペラ《トゥーランドット》より「誰も寝てはならぬ」6.ベートーヴェン/ロマンス第2番 ヘ長調 作品507.リヒャルト・シュトラウス/ヴァイオリン・ソナタ変ヘ長調 作品18より第1楽章アンコール8.トルコ行進曲 ピアノソロ9.真田丸メインテーマレポート愛の挨拶コンサートのオープニング曲としておなじみの楽曲ですが、それだけに弾き手が持つ個性の第1印象を感じるのにとてもよいと感じます。そんな中、ヴァイオリンの松本氏とピアノの酒井氏による演奏は、輪郭がはっきりしていて音量もしっかりあるとても積極的な演奏という印象を受けました。波の盆東京オリンピックの閉会式でダンスのBGMとしても演奏された楽曲とのことですが、松本氏お気に入りの楽曲とのことで、ゆったりとした和のテイストとどこか懐かしい感じのするメロディーに癒しを感じたひとときになりました。ビートルズメドレー単なるビートルズの曲をメドレーにしたものではなく、クラシックの名曲が埋め込まれているという凝った編曲とのことでした。何の曲が埋め込まれているか?ということについて、聴いてすぐにわかったのは、間奏的な位置にチャルダッシュが入っていたこと。またこの後に演奏されるロマンス第2番もあったりと1度に2度おいしい感がある楽曲でした。ツィゴイネルワイゼンヴァイオリニストにおいて難関の超絶技巧の楽曲との紹介がありました。松本氏曰く「難しい曲をいとも簡単そうに弾くのがプロというもの。」と師匠に教わったそうで、「どのように弾くか、私の表情や手元にご注目下さい!」とのことで、演奏を涼しい顔で、超絶技巧をたんたんとこなしてゆく場面がとても印象的でした。オペラ《トゥーランドット》より「誰も寝てはならぬ」この曲でよく話題になるのは2006年のトリノオリンピックで荒川静香選手が金メダルを獲得した時にフリー滑走で流れていた曲というものですが、後にも先にも日本人フィギュアスケート女子で唯一のオリンピック金メダル獲得という偉業を回想させられるところがありました。ロマンス第2番 ヘ長調 作品50ベートーヴェンが28歳くらいの若い時に作られた楽曲とのことで、晩年に書かれた作品とは明らかに違う雰囲気があり、ある意味みずみずしい曲調がとても印象的でした。ヴァイオリン・ソナタ変ヘ長調 作品18より第1楽章3月5日のリサイタルで演奏されるメインプログラムの中から1楽章のみの抜粋演奏とのことでした。抜粋演奏といっても10分におよぶ大曲になることもあり、演奏に先立って楽曲のミニアナリーゼが行われました。それによるとベートーヴェンなどの楽曲であれば、しばらくは同じハーモニーが続くものだが、シュトラウスの作風は、ころころ変化する安定しないハーモニーがとても魅力的、一方でピアニストが作った曲ではないのでピアノパートが手になじみにくい難しさがあるなど弾き手側の内部事情も語られました。そんなことを心に留め置きつつ演奏を聴くとなるほどと思う部分もあって、改めて弾き手の想いを事前に知るということは大切だなと感じた次第です。トルコ行進曲アンコール1曲目は、松本氏がサプライズでピアノ演奏。ねこふんじゃったからトルコ行進曲を1フレーズ弾いたところで、酒井氏に演奏を変わるよう促されて、トルコ行進曲の演奏を再スタートし本職の圧倒的な力量を見せ付けることとなりました。真田丸メインテーマ2016年~2017年頃には大流行した真田丸メインテーマも最近は耳にすることもとんとなくなりましたが、久しぶりに聴くことができ、当時を懐かしく想い出すことができました。まとめ限られた演奏時間で少しでも多くの音楽を届けたいという想いや、運営側の感染対策の徹底の意味もあり、マスクの着脱や換気にかかる時間短縮のため、MCは1曲目と2曲目の間と5曲目と6曲目の間にまとめるなどコロナ渦での演奏会として腐心した工夫がありました。また予定されていた小学校でのアウトリーチが直前に中止になり、子供たちに音楽を届けることができなかったという悔しい想いから、開催されたこの公演へ込めた想いはいつにもまして強いものがあったようです。