演 奏 会 の 旅

関東を代表するバンドで2018年度全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した相模原市民吹奏楽団の定期演奏会に行ってきました。

今年還暦を迎える団員さんからの依頼で相模原市在住の作曲家である建部知弘氏が作曲した作品で、楽しくて中学生でも演奏できる曲という紹介がありました。曲には今まで重ねてきた素晴らしい日々という意味が込められており、キラキラとしたサウンド感と夢と未来を感じさせるようなステキな曲調と思いました。本日の世界初演を経て、是非たくさんの団体で演奏して欲しいと感じるところです。

タイタニック号の一等航海士マードックから見たタイタニック号の出港からアクシデントによる沈没が描かれている作品ですが、樽屋氏はこういったストーリーのある曲についてとても情感豊かに描いているようで、聴いていてまさに冒険しているかのような気持ちにさせられました。いずれにしても人気があるのもうなずけるところです。

ノーベル平和賞を受賞したキング牧師の有名な演説を曲で表現したものという紹介ですが、今回は冒頭にキング牧師の演説の一節が朗読される演出もあり、執拗に繰り返される「私には夢がある。」によって感情移入して聴くことができました。またこの曲は今年度の全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した自由曲で指揮も当日振った安西氏が担当して、全国大会のステージを回想することにもなりました。

クラシックステージの最後は、テーマの海に相応しい海を主題とする第４楽章の演奏となりました。解説によればシェヘラザードとは千夜一夜物語に登場する美しく聡明な女性とのことで、この物語の中には「アラジンと魔法のランプ」「アリババと４０人の盗賊」も含まれるとのことで、まさにアラビア文化を音楽でダイナミックに表現したものが感じられました。

いわゆる軍艦マーチというものですが、パチンコが手打ち式の頃、客に玉を一定のリズムで打たせるためにこの曲を流したそうで、本当に効果があったかどうかはわかりません。本来の軍艦マーチは、旧日本海軍の艦船が出撃する際に流れたものなのかもしれません。そして今回の演奏で使った譜面はなんと海上自衛隊で使っている正真正銘の軍艦マーチとのことで、そういった意味ではホンモノの軍艦マーチを聴けて演奏会冥利につきるなというところです。

カリビアンもいろいろな編曲版があり、比較的海外譜の演奏頻度が高い印象がある中、今回は邦人の森田氏版ということで、どこかに和の要素のノリがあるように感じました。どこに？と言われると太鼓のリズムがなんとなく･･･くらいしか言えませんが、あくまでも全体としての印象でということになります。

ワンピースよりウィーアー～サザエさん～宇宙戦艦ヤマトの３曲がメドレーで流れましたが、ヤマトがコンガにつまづいてこんがらかった･･･などトークでも盛り上がり、サザエさんが何で船？との聴衆の疑問については「フネ」さんだからとの回答ありで、これは福本先生の提案で面白いと思いました。

シンドバッドによるボーカル演出ありということで、曲の世界にぐっとひきこまれました。福本先生お墨付きの良曲ということもあり、これから人気が出そうな気配がしました。

オーボエ、クラリネット、バスーン、アルトサクソフォーンというちょっと変わった編成との紹介でしたが、ダブルリード×２、シングルリード×２ということで音色のバランス的にはよいのではと思いました。曲はピーターパンの空も飛べるよですが、アレンジが凝っていて子守歌風で始まったかと思いきや、気付いたらテンポが速くなったいた･･･。でも一休み、そしてまた早くなるなど変化があって面白いなと思いました。

旧約聖書の創世記に登場する、大洪水にまつわるノアの方舟物語を音楽で表現した作品ですが、今回はストーリーを朗読で挟みながらの演奏となりました。こちらですが、ただ曲を流すのに比べてはるかに想像力がかきたてられました。また世界の終わりの雨のシーンではウインドマシーンフル稼働ということで臨場感もかなりあり、終盤の水がひいて船から動物たちが降りるシーンは感動がありました。音楽は詩と曲の２本立とはよく言われますが、歌謡曲ではそれがもともとあるものに対して、こういった吹奏楽オリジナル曲に詩をつけたらこうなるという１つのモデルになったかなという印象がありました。

青森駅から連絡船で函館に渡る･･･ということで今でこそ青函トンネルで新幹線が乗り入れているとはいえ、やはり北海道と本州は陸続きではないので船の存在なくは語れないということかなと思いました。

相模原市吹のテーマ曲であるＹｏｕｒｓ！この曲で締めるのは定番となっていますが、演奏する度に少しづつソロ楽器を変えたりして楽しませてくれています。そんな中、今回の冒頭のソロはクラリネットが担当しました。終盤のソロはトロンボーンということです。

第５３回定期演奏会は、船をテーマにした演奏会となりましたが、実際のところテーマを決めても良い曲がなかなか見つからないということはよくあることですが、フネさんも海カテゴリーに取り込むなど、要はアイデア次第なのかな･･･と思うところがありました。また今回は朗読と音楽のコラボが前面に出ていましたが、これは曲を知らない人を言葉の力で曲に引き込むのに大いに有用であると感じる場面が多々あり、改めて言葉の力は大きいと思わざるを得ないところがありました。

余談ながら、グリーンホールは伊勢丹相模原店に隣接しており、ホールへの入り口も伊勢丹の２Ｆを通り抜けてゆく構造になっていますが、その伊勢丹がなんと２０１９年９月末で閉店してしまうとのことで、今回は閉店する前にいつくかの想い出がある伊勢丹も散策しました。まずはグリーンホールに来た際、何度か立ち寄った６～７Ｆのレストラン街。こちらで昼食をとろうと思い、７Ｆの中国料理・南国酒屋であんかけやきそばセットを食べました。こちらですが少々値は張るものの素材は一流を感じさせるものがあり、ここであんかけやきそばを食べてしまうとしばらくリーズナブルなあんかけやきそばが食べれなくなってしまうという感がありました。そして演奏会後は、さがみの亭にて評判のてば揚げを頂きました。こちらは相模原店の他、橋本店、渕野辺店と相模原周辺に３店舗を構える居酒屋風料亭ですが、ひっきりなしにてば揚げをテイクアウトしてゆくお客さんも大勢いて、その人気ぶりに名店を感じさせるものがありました。