演 奏 会 の 旅

初夏の陽気を思わせる中で行われた坂城町吹奏楽団の春の演奏会、春の定期演奏会２０１９のレポートです。

また演奏会のテーマとして「朝の連ドラ音楽」を採り上げ、幅広いジャンルから１９曲が登場しました。

朝の連ドラを社会現象にまで引き上げた「あまちゃん」ですが、ここでいう「あま」とは、主人公の天野アキと北の海女の両方にかけている「あま」のかなと個人的には考えています。余談ながらこの曲を初めて聴いたとき･･･「なんだか滑稽な曲だな。」と思ったものですが、映像で三陸鉄道が出てきたりしていたこともあり、半年間聴いていくうちにあまちゃんとイメージと合致した感がありました。演奏の方は、スカやチャンチキの要素が入っていわゆる祭りの音楽だろうということで、演奏会のオープニングにはよく合うのではと思いました。

１９９４年の朝ドラ曲なので、あまちゃん以降に朝ドラを見始めた人たちからすれば古典朝ドラ曲ともいうべきところですが、曲はあのユーミン作曲ということで、もしかするとドラマより曲単体としての印象の方が有名かもというところです。

比較的記憶に新しい２０１４年前期の朝ドラ「花子とアン」の主題歌で絢香の代表作の１つになると思いますが、絢香がドラマに寄り添えるような曲にしようと熟慮を重ねた末に生まれた曲とのことで、いろいろな意味でドラマに似合ういやし系ソングになっている感がありました。演奏に際しても、終盤でオーボエとクラリネットがユニゾンになってソリを吹いたりしてちょっと凝った感じになっているのも面白いところでした。

２０１４年後期の朝ドラ「マッサン」の主題歌で中島みゆきらしい王道を行く応援歌ですが、改めて考えるところ「マッサン」が興したウイスキーブームは大変なものがあり、酒造メーカーでは、予想外の需要に原酒が足りなくなるということも起きていたそうです。私が見たところ、たしかにマッサンがドラマの中で試飲したり、出来上がったドウカのウイスキーは妙においしそう･･･で飲んでみようかなと思う視聴者が多かったのかもしれません。また演奏にあたっては、音が厚く書いてある傾向があり、少ない人数でも豪華な感じになるのが利点かなというところです。

ドラマ自体は振るいませんでしたが、曲はトロンボーン奏者の第一人者である中川英二郎氏のソロということで音楽の世界では話題の曲となりました。当時より、トロンボーン奏者ならば吹いてみたい曲！として挙がっており、なかなかに豪華なソロ曲となりました。演奏に際しては難易度が高めで、ちょっと合奏してできるような曲ではないものの、時間をかけて仕上げてゆけばその分ステキな感じに熟成するという、まさにウイスキーの製造過程にも似た曲という印象を受けました。

２０１７年前期の朝ドラ「ひよっこ」の曲なので、記憶に新しい曲と思いますが、桑田佳祐の独特の音楽観がそのまま出ている感じの曲で、どちらかというとドラマが曲のイメージに寄り添った感があります。またこの曲は比較的演奏がしやすい感じなので、演奏会でもう１曲欲しい･･･といった時にも使えるかもと思いました。

２０１８年後期の朝ドラ「まんぷく」の主題歌ですが、主人公の波乱万丈の人生、何度もどん底から這い上がるという成功物語には勇気付けられた視聴者の方も多かったかと思いますが、なんといってもこのドラマの主題歌はあのドリカムが担当したということで話題性もあったかと思います。ただ今の若い世代にはドリカム？という方もいるかもしれませんが、９０年代の日本のＪ－ＰＯＰ全盛期においては欠かすことのできない存在であり、その当時の吉田美和の特徴的な歌声がほとんど変わることなく「トゥラッタッタ」でも発揮されたということに感動せずにはいられなかったところです。演奏にあたっては、そのドリカムのＣＤを買うと主題歌の他に大阪桐蔭吹部のブラバン版も収録されており、その楽譜がダウンロードできる特典があり、いろいろな意味で恵まれていた感がありました。

２０１０年前期の朝ドラ「ゲゲゲの女房」の主題歌ですが、放牧後充電期間を経て無事活動再開を果たしたいきものがかりの最大のヒット曲でもある「ありがとう」は、感謝を示す時の音楽としても幅広く使われるようになり、そういった意味では国民的楽曲と言えるかもしれません。そんなことから朝ドラステージの最後を飾る曲としていろいろな人たちへの感謝をこめての演奏になりました。

第１部は朝の連ドラステージと題して、８曲が演奏されましたが、実際のところ過去に演奏された坂ブラの朝ドラ曲のストックはまだまだ他にもあり、パート２ができるほどの曲数はあるかとは思いますが、そう考えても改めて朝ドラ音楽が日本の音楽文化に与える影響は多いのではと感じた次第です。