|
テーマ:吹奏楽(3400)
カテゴリ:吹奏楽
開催日:2021.1.23(土) 14:00開演
場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容→160名) 田中拓也&中野翔太のデュオ・リサイタルへ行ってきました。 プログラム 前半 1.ガーシュウィン:3つの前奏曲 2.グラナドス:スペイン舞曲集Op.37 アンダルーサ(ピアノ・ソロ) 3.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 4.中野翔太:For You 5.ミヨー:スカラムーシュ 第1楽章 ヴィフ 第2楽章 モデレ 第3楽章 ブラジルの女 後半 6.ドビュッシー:ベルガマスク組曲より 第3曲「月の光」(ピアノ・ソロ) 7.ピアソラ:Escualo(鮫) 8.リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行 9.グバイドゥーリナ:森の響き 10.ヴィラ・ロボス:黒鳥の歌 11.サン=サーンス:白鳥 12.吉松隆:ファジイバード・ソナタ 第1楽章 Run,Bird 第2楽章 Sing,Bird 第3楽章 Fly,Bird アンコール 13.中野翔太:For You テイク2 14.グノー:アヴェ・マリア レポート 3つの前奏曲 冒頭からのノイズチックな特殊奏法が印象的な楽曲でした。また3曲とも陽気なサウンド感が織り込まれていて、いかにもガーシュウィンらしい作風と感じました。 スペイン舞曲集Op.37 アンダルーサ ピアノソロでの演奏となりました。アンダルーサとは祈りを意味しているとのことで、今の困難な時代から一日でも早い脱却をという願いも込められているのかなという想いも感じた次第です。 牧神の午後への前奏曲 田中氏がソプラノサクソフォーンに持ち替え、中野氏のピアノとともに演奏となりました。解説によればドビュッシーが印象主義的な作風を確立した楽曲がこの曲とのことで、そういった意味ではドビュッシーの型が決まる原点とも言える楽曲なのかなと思いました。またもともとこの曲はフルートとピアノのデュオが原曲とのことで、それをソプラノサクソォーンとピアノで演じるというのが新鮮であり近未来的な印象を感じさせる部分がありました。 For You 中野氏が昨年3月の外出自粛期間中に娘と過ごしたひとときで、ともに遊ぶ中から起草して生まれた楽曲とのことで、とても楽しい曲になっていました。何でも娘さんのお名前がレミということで、音名のレとミに当てはめた言葉遊びのような要素も入っているとのことでした。 スカラムーシュ MCによればサクソフォーン奏者にとっては定番曲なのだが、位置づけとすれば古典なのだそうです。そもそもサクソフォーンが発明されたのがクラシック音楽の全盛期であったベートーヴェンの時代よりも後なので、サクソフォーンのクラシックじたいが貴重なもので、それだけに演奏機会が多くなるということのようでした。楽曲の方は3曲「ヴィフ」「モデレ」「ブラジルの女」のそれぞれがカラーの違うシーンを表現していてとても面白いと感じました。 ベルガマスク組曲より 第3曲「月の光」 ここから後半のステージとなり、まずはピアノソロでの演奏でした。曲目解説によれば前半でも演奏したドビュッシーの初期作品を代表する1曲とのことで、曲を聴くにつけ、その後の印象主義への伏線が散りばめられているような印象を受けました。 Escualo(鮫) 鮫を好んで釣ったというピアソラがこだわりを持って作った楽曲なのかなと思いました。そしてこの楽曲でもピアソラ節が終始支配しており、これでは作曲者名を伏せて演奏してもすぐにそれとわかってしまうのでは!と感じた次第です。 熊蜂の飛行 ヴァイオリンの演奏会ではよく耳にする楽曲の1つですが、管楽器でこれをやるのはよほどの技巧が無いと難しいと思いますが、田中氏の見事な演奏に釘付けになりました。 森の響き~黒鳥の歌~白鳥 お二人が昨年11月~12月に上田市内の学校をまわって演奏するアウトリーチを行った際にあえて曲名を伏せて演奏し、この曲にふさわしい曲名は?というクイズ形式にして子供たちの感性を引き出す取り組みを行ったそうで、こちらもそんな情景を感じつつ鑑賞してみました。今回の公演では予め曲名はわかってはいましたが、なるほどどうして3曲それぞれにはまる題名は間違えようが無いかも・・・と感じた次第です。 ファジイバード・ソナタ 曲目解説によれば、クラシック、ジャズ、エスニックという3つの領域を曖昧な態度で浮遊する鳥というのが曲のテーマになっており、楽章が進むにつれてその曖昧さがさらに深まるという構成になっているとのことで、実際に聴いてみるとなるほどこれはじつに面白い曲という感覚を受けました。またサクソフォーンという表現の自由度が高い楽器だからこそ表現できる部分も多用されていたように感じました。 For You テイク2 前半で演奏したFor Youでピアノの中野氏の電子楽譜でトラブルがあったとのことで、今一度落ち着いた状態で演奏したいとのことから、テイク2の演奏となりました。本来アンコールは1曲の予定のところを2曲に拡大ということになり、聴き手側としてはとても得をした感がありました。 アヴェ・マリア 最後はしっとりとしたこの曲で締めとなりました。ソプラノサソクフォーンの女性的な音色がなんとも良い感じで楽曲とマッチしていてとてもステキでした。 まとめ サントミューゼのレジデンスアーティストによる活動は、アナリーゼワークショップを皮切りに地域ふれあいコンサートを経て、締めくくりの集大成という位置づけでリサイタルシリーズがあると思いますが、今回はリサイタルシリーズのみの鑑賞となっため、それまでの経緯を想像しながらとなったもののまた違った面白さがあったように感じました。それはMCでのお二人のほのぼのとしたやりとりから想像もできたこともあり、またコロナ渦の中で激減した音楽ステージが演奏者としてとても貴重なものであるとのメッセージも言葉と演奏から強く感じることができました。ずっと耐えてきた2020年だったので、2021年は少しでも前へ進めたらと願うばかりです。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 24, 2021 02:14:00 PM
|