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テーマ:ピアノ(232)
カテゴリ:吹奏楽
開催日:2025.2.22(土) 14:00開演
![]() 場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容) 第2回サントミューゼ新進演奏家リサイタル ジョイント・リサイタルに行ってきました。 ![]() プログラム 塚田望生 1.F.ショパン:エチュード ハ長調 Op.10-1 2.F.ショパン:マズルカ15番 ハ長調 Op.24-2 3.F.リスト:超絶技巧練習曲 S.139より 第1番「プレリュード」 4.F.リスト:巡礼の年 第一年「スイス」S.160より「泉のほとりで」 5.S.プロコフィエフ:10の小品より前奏曲「ハープ」 6.S.プロコフィエフ:バレエ『ロミオとジュリエット』より第8曲 マキューシオ 7.E.グリーグ:組曲『ホルベアの時代』より 第1曲 前奏曲 8.E.グリーグ:抒情小曲集より 第8集「トロルドハウゲンの婚礼の日」 9.R.シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化より 第4曲 インテルメッツォ、第5曲 フィナーレ 中島可絵 10.A.スクリャービン:24の前奏曲 Op.11 第1、5、6、7、11、13、14番 11.R.シチェドリン:2つのポリフォニックな小品より「バッソ・オスティナート」 12.F.ショパン:ポロネーズ第7番 Op.61「幻想ポロネーズ」 13.徳山美奈子:ムジカ・ナラ Op.25 2台ピアノ 14.W.モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448より第1楽章 アンコール 15.サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より終曲 レポート エチュード ハ長調 Op.10-1~マズルカ15番 ハ長調 Op.24-2 オープニングはショパンのハ長調曲の連続演奏となりました。AIによればハ長調には、「無垢・純真・平易・単純・素朴・安定といったイメージがあります。ピアノを習い始める際にもよく使われる調で、練習曲の第一曲目に採用されることが多いです。」とのことで、まずは音楽の基本となるハ長調の響きを感じさせていただいた形となりました。 ![]() 超絶技巧練習曲 S.139より 第1番「プレリュード」 演奏に先立って表題音楽を発展させたリストについてお話がありました。この中では、それまでの絶対音楽(ベートーヴェンなどに代表される)に対して何かテーマを設定してそれに対して表現するのが表題音楽であるとのことで、これは現代の映画音楽などにつながる歴史があるとのことで、大変興味深いところでした。そしてこのプレリュードは短い曲ではありますが、リストの超絶技巧ぶりを端的に表したようなダイナミックさを感じました。 ![]() 巡礼の年 第一年「スイス」S.160より「泉のほとりで」 先ほどの表題音楽に絡めてスイスの泉のほとりとは?という視点で、その情景を想像しながら楽しませていただきました。高音の細かい動きが泉の水の音だったり、鳥や小動物の営みの音、草木のざわめきといった情景を想像することができました。 ![]() 10の小品より前奏曲「ハープ」 リストが発展させた表題音楽のバトンを引き継いだというプロコフィエフの楽曲からの演奏となりました。この曲のお題は「ハープ」。昨年ハープの演奏を間近で聴く機会が何度かあり、その音色の特徴がイメージとして残っていたこともありますが、実際に演奏を聴いてみて驚くほどハープの特徴をよく表現しており、度肝を抜かれた次第です。 ![]() バレエ『ロミオとジュリエット』より第8曲 マキューシオ バレエ音楽ということでダンサーの踊りを想像しながらの鑑賞となりましたが、プログラムノートでは、陽気で愉快な人物のテーマということで、そんなことを想像しつつも、AIによれば作品中でマキューシオの死をきっかけに物語が一気に暗くなってしまったとあり、確かに陽気で愉快な人物が物語から退場すれば暗くなるのは避けられないところかもと感じました。 ![]() 組曲『ホルベアの時代』より 第1曲 前奏曲 2023年10月に行われた第2次選考会において塚田氏の演奏曲でもあった曲で、作曲者のグリーグがノルウェーの大自然を表した曲との解説もあって、演奏を聴いていてまさしく目の前に大自然が広がるような解放感がありました。 ![]() 抒情小曲集より 第8集「トロルドハウゲンの婚礼の日」 愛妻家のグリーグが銀婚式の際に妻ニーナに贈ったと言われている楽曲ですが、こちらも第2次選考会の演奏曲で、その時と変わらずに塚田氏の楽しそうに弾く様がとても印象的でした。人生の中で、いろいろおめでたい事はあるとは思いますが、その中で婚礼というのはやはり格別なものということを感じたひとときになりました。 ![]() ウィーンの謝肉祭の道化より 第4曲 インテルメッツォ、第5曲 フィナーレ シューマンがウィーンに滞在していた際に見かけた謝肉祭の体験に触発されて作られた作品とのことですが、演奏に先立ってシューマンの人生についてお話があり、クララと結婚するまでのイバラの道。そして結婚後も売れっ子のクララと売れない自身の間柄に思い悩む日々があり、そんな中でもクララへの愛は途切れることなく、作品という形となって世に出つづけたのかなと感じたひとときになりました。 ![]() 24の前奏曲 Op.11 第1、5、6、7、11、13、14番 2023年10月の二次選考会では、第1、5、6番の演奏でしたが、今回加えて7、11、13、14番の計7曲の演奏となりました。演奏後に中島氏より楽曲についてお話があり、スクリャービンはロシアの作曲家でショパンをリスクぺクトしており、作品においてその影響を大きく受けていたことはもちろん、その名もロシアのショパンと呼ばれていたということで、いわばショパンの後継者的な存在なのかなと感じました。そして24の前奏曲もショパンの24の前奏曲に倣って作られたとのことで、こうなると全曲通しで聴いてみたい…という欲が出てくるところです。 ![]() 2つのポリフォニックな小品より「バッソ・オスティナート」 2023年10月の二次選考会の演奏では私自身、時を刻むような動きととらえた独特な低音のリズムですが、本日の印象としては、どこかインベーダーゲームのBGMを連想させるところがあり、そこに乗っかる旋律はどこか現代音楽っぽいところがあったりして摩訶不思議。そして低音のリズムの不気味さもあいまって恐怖心すら感じる調べにすっかり取り込まれた感があり、ピアノの低音をここまで効果的に使っている作品はそうはないだろうという印象を持ちました。 ![]() ポロネーズ第7番 Op.61「幻想ポロネーズ」 ショパン最晩年の作品ということで、ショパンが自身の寿命が近いことを悟り、この世への想いをつらつらと綴ったかのような曲調に、これまで聴いてきたショパンの作品とは少し違った影のようなものを感じました。ポロネーズという題名はついているものの、ポロネーズらしいリズムは断片的にしか登場しないため、ポロネーズだと思って聴いてみたら違う世界観が広がっていた…そんな印象を受けました。 ![]() ムジカ・ナラ Op.25 中島氏の演奏の締めくくりは、奈良を題材にした日本人作曲家の徳山美奈子氏の楽曲でしたが、この曲は聞き覚えがあるな…と振り返ってみたところ2022年の地域ふれあいコンサートVol.71 酒井有彩ピアノ・コンサートの1曲目で演奏された楽曲で、奈良出身の酒井氏にとってこだわりの1曲という位置づけでしたが、中島氏は上田市出身で大学は山形という経歴をお持ちなので、この曲をトリに選んだ理由を聞いてみたいところでしたが、それはさておき、改めて日本人の作品を日本人が弾くとシンクロ率が高まりやすいのかもという感じがありました。 ![]() 2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448より第1楽章 プログラムの締めくくりは塚田氏と中島氏の2台ピアノによるソナタとなりました。この曲はのだめカンタービレで千秋先輩とのだめが弾いたことで有名ですが、演奏に先立ってのお二人の対談MCではそのことも含め憧れの曲とのお話もあり、これは演奏者にとっても2台ピアノで演奏することが、ハード・ソフト両面でなかなかできない貴重な機会でことであることが感じ取れた次第です。そして演奏を聴くにあたっては、お二人がコンタクトをどう取って演奏を合わせているのかということや、2台ピアノの音の重なりの豪華さを存分に感じさせていただきました。 ![]() 「動物の謝肉祭」より終曲 アンコールはおなじみの動物の謝肉祭の終曲の演奏となりました。演奏に先立って塚田氏よりかけあいがとても楽しい!というお話があり、そのあたりに注目しつつ、また私自身この曲はやったことがあったので、親近感も沸きつつ楽しませていただきました。 ![]() まとめ 今回、2023年の2次選考会の拝聴があって、1年を経てさらに成長したお二人の演奏を楽しませていただきましたが、このリサイタルのパンフレットのプログラムノートは、すべて演奏者自身となるお二人がそれぞれ書かれたもので、そんなことからも曲へのこだわりが強く感じられました。そしてお二人とも新進演奏家ということで、過去より未来の時間がはるかに長いことから、これからの御活躍を大いに楽しみにさせていただきたいと感じました。 ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 23, 2025 09:40:18 AM
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