演 奏 会 の 旅

開催日：２０２５．２．２３（日）　１３：３０開演
場所　：上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール（320名収容）

長野医療衛生専門学校・音楽療法士学科の第41回定期演奏会Happy concertへ行ってきました。

プログラム
開演前
０．ギター弾き語り「裸の心」
０．ジブリメドレー　フルート・アコーディオン

第１部
１．宇宙戦艦ヤマト　ミュージックベル３年生
２．We Are The World　ミュージックベル３年生
３．童謡メドレー　合奏・全学年
４．ドリフメドレー　合奏・全学年

第２部
５．おんがく　アカペラ四重唱
６．３６６日　デュエット
７．晴る 独唱
８．故郷　クラシックギター独奏
９．『六つの浪漫から』　風をみたひと・草に寝て　独唱

第３部
１０．沖縄の空に虹がかかったよ　音楽療法体験　黒糖ロッカーズ＆にじーず
１１．ＮＨＫ大河ドラマ『真田丸』～真田丸紀行～メインテーマ　ヴァイオリン二重奏×ピアノ
１２．パート・オブ・ユア・ワールド　独唱
１３．翼をください　ピアノ連弾

第４部
１４．ロンドンデリーの歌　合唱・全学年
１５．夜明け　合唱・全学年
１６．楽譜を開けば野原に風が吹く　合唱・全学年

アンコール
１７．夢みたものは　合唱・全学年


レポート
ギター弾き語り「裸の心」
開演２０分前からウェルカムコンサートとして、あいみょんが2020年にリリースしたヒット曲が弾き語りで演奏されました。マイクを使わない生歌ならではのナチュラルな魅力が伝わってきて、会場の空気を和やかにするステキな弾き語り演奏と感じました。

ジブリメドレー
ウエルカムコンサートの２チーム目は、昨年も登場したフルートとアコーディオンのゴールデンコンビによるジブリの大メドレーの演奏となりました。カントリーロード、となりのトトロ、魔女の宅急便、風のナウシカ、千と千尋の神隠し、ハウルの動く城、もののけ姫、崖の上のポニョとおなじみの曲を聴きながら、その尺の充実ぶりに感服しつつも、改めてジブリの音楽は世代を越えて親しまれていると感じました。

宇宙戦艦ヤマト～We Are The World
小ホールのステージ奥のバルコニーに奏者が並んでの演奏となりました。この演奏位置は客席からだとだいぶ見上げる形になるのですが、それが天上からの演奏といったシチュエーションを生み出し、聴く側とすれば天使の演奏を聴いているかのよう！という印象がありました。そして演奏された楽曲が宇宙戦艦ヤマトと世界的なチャリティーソングのWe Are The Wordというそれこそ知らない人はいないというど定番の選曲も聴き手側の聴く気持ちを引き寄せる効果があり、素晴らしい演奏と感じました。

童謡メドレー
オーボエ奏者の石井聡恵氏による指揮で、吹奏楽編成による演奏となりました。このＭ８版の童謡メドレーは私自身も学生時代に慰問演奏で数えきれないくらい演奏したことがあり、懐かしく聴かせていただきました。小島里美氏の編曲ということで、凝っていて少々苦戦したことがあったことも想い出した次第です。

ドリフメドレー
演奏されたのは、ジャパニーズ・グラフィティー19　ザ・ドリフターズ・メドレーですが、あの有名なダンスの演出も入り、とても楽しく聴かせていただきました。余談ながら星出尚志氏の編曲の特徴として波が引いたような弱奏部が入る印象がありますが、この19では、フルートのソロで仕立てられており、そこでいったん落ち着いてから強奏のフィナーレへとなだれ込むと、曲の印象がずいぶん締まったものになるなと感じました。

おんがく
アカペラ四重唱での演奏となりましたが、曲目解説によれば、詩人まど・みちおが音楽そのものが持つ魅力や力をシンプルな深い言葉で表現し、この詩に木下牧子が美しいメロディーと豊かなハーモニーを加えたとあり、その心のこもった歌唱に引き込まれたひとときになりました。

３６６日
ＨＹの失恋ソングで３６５日では足りないくらいの気持ちを表すために３６６日としたとのことで、その想いの深さを感じるところでした。曲目解説によれば、サビにハーモニーやソロパートを入れる工夫をしたとのことで、そのあたりにも注目して楽しませていただました。

晴る
晴れではない状態から晴れを願う曲とあり、この曲を聴きながら、そういえば新海誠監督の天気の子にも似たシチュエーションがあるのかなと感じた次第です。歌詞の中で「降りしきる雨でさえ雲の上では晴る」というフレーズがあるのも強いメッセージ性を感じるところでした。

故郷
曲目解説によれば、編曲者リサフォンがギターならではの技法や特徴を活かしながら、誰もが口ずさめるメロディを大切にしたギターアレンジに仕上げたとあり、ギターの優しい響きがとても印象的でした。このあたり、普段から管楽器の大音響の中で音楽活動をしていると、耳をすませて聴く音楽の良さを感じるところです。

『六つの浪漫から』　風をみたひと・草に寝て
３年生のお二人が木下牧子の歌曲集から心に響く２曲を選んだということで、１年生の時からコンビを組み木下牧子作曲の歌曲を創り上げてきた集大成としての歌唱となりました。学生は決められた期間を修業すれば卒業という形でともに学んだ仲間と別離しなくはならない掟がある訳ですが、そんな貴重な三年間の結晶の演奏を聴けたことがとても感慨深いひとときになりました。

沖縄の空に虹がかかったよ　音楽療法体験
第３部のスタートは音楽療法体験ということで、卒業旅行で沖縄に来た二人が沖縄で人気のロックバンド「黒糖ロッカーズ」に出会い、不思議な虹色の妖精たちと音階の度に出るというストーリーが仕立てられ、聴衆にトーンチャイムが配布され、虹のカラーに合わせて音を出しての体験となりました。まずタイミングを合わせて音を出す練習。そして仕上げとして曲に合わせてそれぞれのパートが順番に音を鳴らしていく形になりましたが、最終的には２つのパートが同時に音を出すハモリの部分にまで踏み込むというなかなかに高度な体験となりました。

ＮＨＫ大河ドラマ『真田丸』～真田丸紀行～メインテーマ
上田にとって2016年はNHK大河ドラマ「真田丸」で大いに盛況になった年で、週末ともなれば上田城周辺が大渋滞していたものですが、そんな出来事も早９年の昔…。本日出演の学生さんたちがおおよそ２０歳くらいと考えると小学生の頃の話になり、子供心にかっこよさに衝撃を受け、今日の演奏へとつながったかと思うと感慨深いものがあります。そして演奏では、原曲のオーケストラ部分をピアノ１台、ソロヴァイオリンの部分をヴァイオリン２台という編成で組まれたとのことで、真田丸の雰囲気がひしひしと感じられたひとときになりました。

パート・オブ・ユア・ワールド
リトル・マーメイドでアリエルが人間の住む世界への憧れを歌う有名な曲で、途中にセリフが入るのが特徴的で、リトル・マーメイドの大きな見せ場になっていますが、そんな有名な曲を生歌唱で聴ける貴重なひとときになりました。また私自身この曲アンサンブルでも演奏したことがあり、その時にユーチューブでいろいろな歌手の歌を聴いて曲のイメージを作ったこともあって、より親しみを持って聴かせていただきました。

翼をください
１年生の頃から夢見ていた連弾での舞台。２部の最後で集大成の歌唱を披露したお二人が今度はピアノ連弾での登場となりました。そしてこの翼をくださいは、じつにアップテンポで躍動的。そして強弱の演出もしっかりつけられていて、その音の絡み合いがとても豪華に感じられました。

ロンドンデリーの歌
第４部は、全員合唱のステージということで、まずは伴奏無しで時代を超えて愛されるアイルランド民謡のロンドンデリーの歌の歌唱となりました。ダニー・ボーイでも知られているところですが、ＡＩによればダニー・ボーイは曲名ではなく、いろいろな歌詞で歌われたロンドンデリーの歌の中で一番よく知られたバージョンという解釈みたいです。

夜明け
北海道旭川商業高校吹奏楽部の平成１０年度の卒部式のために作られた合唱曲で、私自身もこれまでいろいろなところで耳にしてきた曲ですが、自分にとって大切な存在である「あなた」への想いが綴られた歌詞とステキな曲が素晴らしいと改めて感じました。

楽譜を開けば野原に風が吹く
あふれ出る合唱のエネルギーと祈りを象徴した曲とのことで、聴いた印象としては歌詞もそうですが、声量が豊かでとても力強さがあり、壮大なスケール感を感じ、４部に渡る演奏会を締めくくるにふさわしい楽曲と感じました。

夢みたものは
昨年まではアンコール曲が無かったが、学生さんたちからの要望で今年は用意したとのことで、木下牧子氏による合唱曲「夢みたものが」が披露されました。こちらは伴奏無しの楽曲で演奏会の余韻を感じながら静かに幕を閉じるといった雰囲気がありました。

まとめ
昨年、初めて長野医療衛生専門学校・音楽療法士学科の定期演奏会を拝聴させていただき、大変心に残る素晴らしい公演だったこともあり、今年も伺わせていただきましたが、昨年活躍されていた学生さんがさらに成長して演奏されていたりと、公演の内容の濃さもさることながら、とても感慨深いひとときになりました。