消費者の意識高まりで旅行業界、エコ商品投入
旅行業界が、利用交通機関などで排出する二酸化炭素(CO2)を排出権取得で相殺する「カーボンオフセット」を取り入れたツアーなど環境対策を目玉にした「エコ商品」に力を入れている。環境問題に敏感な消費者が増えているためで、各社はアイデアを競って、顧客の囲い込みを狙う。 JTBが11月に実施した調査(回答者約3000人)によると、「旅行での環境活動を意識している」との回答が70%を占めた。取り組みたい活動としては「歯ブラシやはし持参など」(62%)でトップ、「環境にやさしい移動手段」(46%)が続いた。旅行先の環境破壊を気にしない「旅の恥はかき捨て」という意識が大きく変化していることを裏付けた。 全日本空輸グループの旅行会社ANAセールス(東京)は10月、片道の航空機で排出するCO2を排出権購入で相殺する高知県へのツアーを開催した。通常のツアー料金にCO2削減費用として1000円(諸経費込み)を上乗せしたが、人気を呼んだ。同社は「ツアー客だけでなく、一般の航空利用者にも負担をお願いできるか検証したい」と話す。 小田急電鉄もカーボンオフセット付きの箱根観光周遊券を発売。小田原駅までの往復割引乗車券と、箱根登山線(小田原駅―小涌谷駅間)などが乗り降り自由。価格は新宿駅からが大人3080円で、相殺費用は同電鉄などが負担し、新規顧客開拓を目指す。 JTBは、ホテルなどで2日目以降の清掃やシーツの交換が不要の場合1室1000円分の宿泊施設館内利用券を還元するツアー、宿泊先の食事を残すのがもったいないと思う人向けに、食事の量が控えめなプランを展開している。〔