羽後交通の電車保存「デハ3号車両保存庫」
秋田県南部、湯沢市の西隣「羽後町西馬音内(にしもない)」にある「道の駅うご」で、旨い西馬音内そばを食した後、車を西の方向へ走らせました。そばを食べた「道の駅うご」は、西馬音内の集落の東側にあります。集落の南側をバイパス(県道57号)が通っていますが、旧来からの街道筋は現在も集落の中心を通っています。その通りは狭く、鉤型の屈曲も数か所現存するなど、昔の面影をよく残しています。夏の風物詩、国指定重要無形民俗文化財で、豪華クルーズトレイン「トランスイート四季島」のスペシャルコース「東日本の旬 夏の2泊3日」(外部サイト)にも組み込まれている「西馬音内の盆踊り」は、その通りで催されます。路線バスも、バイパスではなくこちらを通ります。google earth スクリーンショットに付記 拡大できます 図中に記載してしまいましたが、西馬音内から七曲峠の方へ旧道を進んでくると、川の対岸にこんな建物が目に入ります。バイパス(県道57号)では、近すぎて逆に見逃すかもしれない。 デハ3号 車両保存庫かつて国鉄奥羽本線湯沢駅から「西馬音内」を経て、ここ「梺」までを結んでいた羽後交通雄勝線の貴重な電車を保存している建物があります雄勝線は、国鉄湯沢駅の4番線(現存せず)から梺までの間11.7kmを結んでいました。1967年に末端の西馬音内~梺間が廃止、1971年には省力化のためディーゼルカーの運行となり、1973年に廃止されました。この「車両保存庫」は梺駅跡地であり、保存車両は1971年のディーゼル化まで運行されていた、ポール集電の電車です。本来、内部見学は事前の予約が必要です(予約は役場まで)。 が、見学の便宜を図って開放しているのか、はたまた閉め忘れなのか分かりませんが、窓が1か所開いていて、ガラス越しではない写真を撮ることができました整備からずいぶん月日が経っているはずですが(鉄道ホビダスによると1983年修復)、施錠されているだけあって車体は大変きれいに保たれています。この記事を書くにあたってネット調べしたところ、修繕当時は通電すれば走れるレベルまで修理されたそうです。 がんばって車体の表記を撮りました。全検表記は「44年(1969年)12月 西馬音内電車区」。電気運転廃止の約1年半前。修復は羽後交通のOBが中心に行ったそうなので、この表記は史実なんじゃないかな?※これより下の写真はガラス越しです サボは、終焉期の運転区間「湯沢ー西馬音内」が再現されています。ちなみに、羽後交通の保存車両としてはほかに、博物館明治村(愛知県)の蒸気機関車に連結されている客車「ハフ11・13・14」の3両も、ここ雄勝線で走っていた車両だそうです(明治村HP確認)。 梺駅の駅名標も復元。ホームも短いですが復元されています。保管庫内には、ごく一部地元の消防機材が置かれているものの、ほかに倉庫代わり化したような物品はなく、羽後交通OBや地元の方々の、「西馬音内電車」への愛情がよくわかる展示施設ですね。次回は、ここ車両保存庫=梺駅跡とその周辺を探索しますデハ3号 電車保存庫秋田県雄勝郡羽後町西馬音内堀回・窓越しの見学 自由・立ち入っての見学は、事前に羽後町役場へ予約してください列車・バスでのアクセスJR奥羽本線「湯沢駅」より歩いて5分のバス停「湯沢駅前角」より、羽後交通路線バス西馬音内線に乗車し、「元城上」下車。川の対岸にあります。バスを降りて前方へ進むと横断歩道があり、左折し小路を抜けると、歩道専用の橋が架かっています。橋を渡ったら県道を渡り向かいの道へ入ってください。※湯沢駅前角バス停は、駅東口を出て1つ目の信号交差点(国道13号)を左折したところにあります。西馬音内線は駅前ロータリーには入らないので注意です。バスの本数はあまりありません。西馬音内(道の駅付近)からここまで3.6kmなので、晴れていれば歩きも良いでしょう。なお、湯沢からは歩いて来れる距離ではありません。マイカーでのアクセス湯沢横手道路・湯沢インターチェンジ出口を右折して、道なりに進んでください。西馬音内を過ぎ3kmほど田んぼの中を走ると郵便局があり、そのすぐ先です。「ひなん場所」の看板がある空き地があり、車を停められます。googleストリートビューでは「元西小学校」の看板が写っていますが廃校となり、「電車保存庫」の案内に掛け替わっていますので目印です。羽後交通横荘線【電子書籍】[ 若林宣 ]価格:1080円 (2017/5/30時点) 羽後交通雄勝線【電子書籍】[ 若林宣 ]価格:1080円 (2017/5/30時点)