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売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2019.08.11
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   (ヴィトラミュージアム正面、フランク・ゲイリー作)

ドイツの最南西部スイスとフランスとの国境に近い町ヴァイルアムラインにある家具のヴィトラ社の広大な工場敷地、ここにインテリアデザインの領域では世界で最も重要なヴィトラ・ミュージアムがあります。​

 

キャンパス正面にはフランク・ゲイリー(カナダ出身、米国拠点に活躍)設計のミュージアム、その左横には安藤忠雄設計の会議場、右横にはヘルツォーク&ド・ムーロン(スイス)設計のショップとカフェ、敷地後方にはザハ・ハディド(イラク出身、英国拠点に活躍)設計の消防署とアルヴァロ・シザ(ポルトガル)設計の工場と、歴代プリツカー賞(建築界のノーベル賞とも言われる)受賞アーキテクトたちの手による建物が並んでいます。

 

巨匠たちの設計した建物だけでも十分見応えありますが、一番はなんと言っても有名デザイナーやアーキテクトがデザインした家具や照明の収蔵物です。チャールズ&レイ・イームズ、ジョージ・ネルソン、ロン・アラッド、イザム・ノグチや倉俣史朗、柳宗理、SANAA(妹島和世、西沢立衛)らの作品がズラリ、展示公開している100年にも及ぶイスのコレクションは圧巻です。

 

​​ヴィトラ・キャンパスへはスイスのバーゼル駅からトラム、バスを乗り継いで行きます。例えて言うなら、荒川区から都電とバスを乗り継いで1時間ほど行ったって感じでしょうか。のどかな河口湖周辺の広大な敷地にモダンな建物群がドーンと現れたような印象でした。世界中から視察者が訪れるデザイン界の殿堂は、決して足の便がいい場所にあるわけではありませんが、「来て良かった」を実感できます。

  
   (ヴィトラのイスコレクション)

  
   (ちびっ子デザインワークショップも)

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なぜこんな不便なところに足を伸ばしたのか。それは近未来日本に建築ミュージアムをつくりたい一心だからです。ファッションの仕事をしてきた私がなぜ建築ミュージアムなのか。それは、プリツカー賞を受賞した日本人アーキテクトが7組8人(丹下健三、槇文彦、安藤忠雄、SANAA、伊東豊雄、坂茂、磯崎新)もいるのに、世界が認めたクリエイターの仕事をまとめて検証できる場所が国内どこにもないからです。

 

​数年前、青森県弘前市を初めて訪問したとき、市役所の方に案内されて前川國男が設計した古い建物を視察しました。前川は建築界の巨匠ル・コルビジュエの門下生、戦後のモダニズム建築の旗手として日本の建築界を牽引した人であり、丹下健三の師匠です。市役所の方に聞けば、弘前市には前川設計のものがいくつもある。調べたら、新潟県出身なのにどういうわけか前川が設計した建物は弘前市に7つもありました。戦後の日本建築界を牽引したアーキテクトの作品が東京から遠く離れた地方都市にいくつもあるとは知りませんでした。

  
   (前川國男設計の弘前市立博物館)

 

まずは設計者と建造物情報を集積して建築INDEXを作り、戦後の建築界を牽引したアーキテクトたちのことをもっと日本の若い世代に知らせたい。プリツカー賞8人と他国より飛び抜けて受賞者を出している一級国なのに、ニュートラルな(ここが重要です)建築ミュージアムがないのは情けないではありませんか。

 

プリツカー賞受賞者以外にも日本には世界でいい仕事をしているアーキテクトはたくさんいます。日本人アーキテクトの情報を集積し、彼らの仕事を検証できるイベントができる発信拠点をつくれば、世界の建築ファンや建築家予備軍を日本に呼ぶことができます。つまり建築はインバウンドの目玉になる強力な日本コンテンツ、と私は思います。

 

そんなことを友人、知人に話し、彼らとともに構想を練っていたら、賛同者が増えていよいよ具体的なプランを立てる段階まで来ました。このままうまく運べば、そう遠くない近未来、日本のアーキテクトを一堂に検証できる建築ミュージアムが足の便がいい都心部に誕生するかもしれません。私は建築の門外漢なので運営事業の基盤をつくるお手伝いしかできませんが….

 

規模はヴィトラ・ミュージアムには及ばないかもしれませんが、日本のアーキテクトの情報を一堂にまとめ、彼らのクリエーションを世界に向けてカッコよく発信できる拠点を何としてもつくりたいです。

 <文中敬称略です>







Last updated  2019.08.23 11:15:52
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