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売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2020.01.14
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ファーストコレクション以来8年間ずっと日本の伝統美を現代の衣生活に注入してきたmatohuのデザイナー堀畑浩之さんと関口真希子さん、その展覧会「日本の眼」に行ってきました。お邪魔したときちょうどお二人のトークショーでした。伝統美のいろんな要素の中から、何に注目し、それをどう解釈して現代衣服に反映させ、これまでコレクションをつくってきたのか、お話を伺ってよく理解できました。





いわゆるファッショントレンドに左右されず、ひたすら日本の伝統美を深掘りして自分たち独自のコレクションをつくるmatohu、しかも全国の織物産地の職人さんたちと共に丁寧な仕事をしている。その姿勢がなんと言っても素晴らしいです。現在も展覧会開催中のミナペルホネン皆川明さんとは異なる世界観ですが、職人さんたちの制作する布に注ぐ愛情は皆川さんと同じようなものを感じます。



数シーズン前のコレクションでこんなことがありました。ショー終了後、デザイナーのインタビューのため楽屋へ急ぐ新聞記者にひとつ頼みごとをしました。コレクションの素材、もしかして◯◯さん(元テキスタイルメーカー社長)が作っているか本人たちに訊いてみて、と。
◯◯さんは既に廃業、もう素材づくりはしていないはずなんですが、どう見たっていくつかは彼の工場が織ったとしか思えなかったからです。

◯◯さんが廃業を決心なさったとき、私は直接電話をもらいました。廃業の理由を伺ったとき、「若いデザイナーに◯◯さんの生地は値段が高いのでもっと安くしてくれと言われましてね」とひどく落胆なさってました。若いデザイナー(ブランドデザイナー本人なのか、それともアシスタントなのかは不明)にものづくりのことよりも値段のことを先に持ち出され、手間暇かけて一生懸命ものづくりして貢献してきた◯◯さんはショックを受け、廃業を決断したそうです。

数時間後、質問を託した新聞記者さんからメールが届きました。答えは私の予想通り、廃業した
◯◯さんが特別に織機を動かしてmatohuのために制作したものでした。廃業した◯◯さんを再びその気にさせる何かがmatohuの二人にはあったということでしょう。

私の勝手な見立てですが、matohuのものづくりに一本筋が通っているから、そして彼らの意図が非常に明確だから、一徹な◯◯さんは再び織機に向かったのでしょう。職人魂を揺り動かすクリエーションと人間性、デザイナーにとって最も重要なことだと思います。

「日本の眼」展、展示作品数は多くありませんが、matohuの世界観、デザイナーの人間性がよくわかります。
会場は南青山スパイラルビル1階、入場無料。1月22日まで開催。まだご覧になっていない方はぜひ。







Last updated  2020.01.18 16:25:22
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